正義・番外編 | ナノ



偶然の必然
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偶然の必然

「氷雨さん、これ、貰ってくれますか?」
「え?…わ、素敵なブレスレット!ありがとう」

なんて、渡されたブレスレットを思わず顔の前に持ってきたのには、理由がある。
勿論、ブレスレットが見たかったからとか、そう言う理由ではない。
咄嗟に顔の前に持ってきたのは、何か良くわからない衝撃が襲ってきたからだった。
瞬間的にサガさんとカノンさんの声が聞こえた気がしたのは、気のせいじゃないと思う。
視界を覆う腕を降ろす、と、そこは、何処が上とも下ともわからないような、訳のわからない空間だった。
ていうか、何此処、惑星?てか宇宙?
どれくらい混乱していただろうか。
とりあえず、此処から出ようと歩き始めた、までは良かった。

「つかれ、たぁ…」

どれくらい歩いたかわからない。
靴はヒールだったので脱いで歩いたこともあってか、足の裏がなかなか酷いことになっている。
でも、座り込んだら最後だと思うので、ゆっくりでも歩き続けていた。
そのとき、だった。

「女…?」
「カノン、さんではありませんね。…とりあえず、外に連れて行ってもらえませんか?」

そこにいたのは、ラフな格好をしたカノンさんによく似た、誰か。
暫く動きが固まっていた彼は私の勢いに押されたのか、その空間から連れだしてくれた。
だが、戻った瞬間、そこに広がっていたのは、私の知る聖域ではない、謎の聖域。

「あら、デフテロス、その方は?」

沙織ちゃんに似た、でも、沙織ちゃんよりおっとりした印象の女の子。
キョトンと首を傾げるその様子に、頭を下げる。

「私は、白雲氷雨と申します」


「デフテロスさん、アスプロスさん、暫くの間、お世話になります」

ぺこり、と腰を折って二人に告げた。
構わないぞ、という、双子にもう一度すいません、お願いしますといえば、綺麗に笑った二人が目に入る。
サーシャちゃんと話によると、此処はどうやらパラレルワールドらしい、何聖戦が運動会って。
ふざけてんだろ、何、聖闘士vs冥闘士で玉入れとか、馬鹿にしてるよね、平和でいいけどさぁ…。
それで地上の支配権を取り合ってるって…なんて冗談、と思わず呟いたのは、きっと疲れていたからだと思う。
疲れているんだな、とデフテロスさんに頭を撫でられて、そのまま寝てしまったのだから、そうだろう。

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