哀歌
深まる闇の中で 海辺を見つめる君
水平線に向かうその両足は
水底を目指すものではなくて
愛する人の元に 走るためのもの


雨が降る中で ピアノを弾く白い指先
楽譜を奏でる 滑らかな細い指は
切ない音色を響かせるためであり
愛する人へと その音を届けるためのもの

世界はそれを 見守りながら廻る
限りない世界の果てで
私は今日も 哀しみを歌う

哀歌


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