いしまきくんとの穏やかで楽しいラインをした翌日。
急遽の先生の会議だかなんだかで午前中だけになった。
と言うのを聞いていち早く連絡して来たのは小田だ。
大方ビッチ自慢のネタでも増やして来たんだろう。私と中本でファミレスに行くことになった。
「あーあ。パン買って来たのに。」
オミが言う。
そう、私も小田も中本も、本日奇跡的なことに全員食堂組だったのだ。
偶然にしては気持ち悪すぎるな、私たちの腐れ縁は。
「どんまいー」
「あたしなんて弁当持参よ!帰ってアイと食べるわ!」
「おー愛妻だねー」
「違うわ、ラン。アイは嫁じゃないもの。」
「旦那?召使?」
「…………大臣?」
「はははっ、なんだよそれ。」
「本当。その微妙な位置づけ!」
「だって結婚は出来ないし」
「年齢的に?」
なんて、適当に話して過ごす。サクリア充かよ。
なんだかよほどのことがあったらしい。1時間目も急遽自習なんだって。
「あ、弥蜂さんおはよー」
がらがらといしまきくんが入ってくる。
「おはよう!体調でも悪かったの?」
「ううん。おれ、あんまり早起き得意じゃなくて。1年の時もあんまり朝間に合わなかったんだー」
「なんというおっとりさん…!」
「あー、それよくいわれる」
おっとりさんいしまきくんはおっとりさんらしく席に向う。ああ、可愛らしい人ね。
「あ!昨日言ってた漫画ねー持って来たよー。」
なんていって紙袋を渡される。某国擬人化コメディのあれね。
私もいしまきくんも世界史専攻だから。
「わあ、嬉しい!ありがとー!」
「いいえー。」
漫画をわたすといしまきくんはそのまままた席に戻って爆睡しはじめた。
なんだ、寝たろうキャラか?
「え、なに、弥蜂石巻となかいーの」
「え?いや、たまたま。おなじ漫画すきだったから話した程度だよ?」
なんだか不機嫌な山見くん。
え、なに。俺の石巻とるなよ、みたいな?え?リアルにそういう人はそうそういないって?ツイッタのねたでだけだって?まあそうだよねえ。
「…ふうん。なんの漫画。」
「え、ジャンプ」
「週刊少年?」
「そうそう。弟が買ってるの読んでるんだー。」
「へえ。俺も読んでるよ、ジャンプ」
「あ、まじでー?」
「まじまじー。あれとか好きだった。バスケのやつ。終わったけど」
「あ、男の人って意外にあれすきなんだね。女の子向けみたいないじられ方してるからてっきりそうなのかと」
「あーホモねたすごいよなーツイッター」
「ねー」
なんていいつつ。
ちなみにここで大切なことを一つ。
本日、まだ矢棚さんが来ていません。
それ故のこの平穏なのです。否、平穏だったのです。
がらがら。
いまだにその音のする私のクラスのドアをあけて、女子が入ってきた。
もう、流れから分かりますよね、矢棚さんです。
そのおかげで、一気にクラス全員緊張が走ります。
ちなみにうちのくらす、Bこと相坂さんたちは男子よりも他のおとなしめ女子の方をとります。女子のほうと仲良しです。
けど、Aこと矢棚さんたちは昨日のからみて分かったかもしれませんが、男子のほうに寄っていってます。
だから、男子vs女子の構図になると思いますよね。
違うんです、これが。残念なことにーーーーー