【校内暴力は良くないよ】



最愛の妹が、恋心を向けている相手。
それは万年ジャージの数学教師こと、永倉新八だということに気づいた時、不覚にも薫は目眩に似た感覚に襲われた。

よりによって、なんでこいつ!?

ショックは隠しきれないが、目の前で起こっている光景は、間違いなくそれを現実のものとして突きつけていた。
可愛らしく頬を染めて、千鶴は永倉の肩を揉んでいたりする。

「先生、痛くありませんか」
「ああ、丁度いいぜ。つーか、千鶴ちゃんみたいな気のきいた子が嫁さんだったらなー」
「え」

不用意なその発言に、千鶴は指の動きを止め、薫は頭のどこかの血管が一本切れたのを感じていた。

このやろうぶっころす。相手が教師だとか、もうどうでもいい。とりあえずこいつは抹殺。それしかない。

物騒な思考を胸に、薫はどこからともなく木刀を取り出した。すると、背後から肩をぽんと叩く手が一つ。

「おい、新八、ちっと…体育教官室来いや」
「あァ、ゆっくり話をさせてもらうぜ。穏便にな」

不穏な空気が揺れる。

同僚の教師が二人して永倉を連れ出していくのを見送りながら、薫は眉間に寄った皺を揉みほぐす。
この学校の教師は基本的にあぶないのかもしれないと自分を棚上げしつつ思う。

千鶴は千鶴で放心してるし。

もう、保護者なんてやめちゃおうかな、と考えながら、まだまだ妹離れができそうもない薫であった。


end.

2010/11/28/Twitter

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -