【ED後・平千と風間】
「んー、千鶴ぅ…」
「…何だ、この体たらくは」
「風間さん、起こさないでください。平助くんは昼に弱いんですから」
「こいつの事情など、俺は知らぬ」
「むにゃ、千鶴、すきだー」
どんな夢を見ているというのか、平助は抱きしめた敷布団に唇を近付け、そして―――
「いい加減に起きるがいい」
蹴り飛ばされた。
「痛ってえ。コブ出来てるよ。相変わらず無茶苦茶な奴…」
「ふん、貴様が寝汚いのが悪い」
「仕方ないだろ。昼は眠くなるんだ」
やりとりがなんとか落ち着いたのに安心し、千鶴が茶を淹れるために奧に下がっていく。足音が遠ざかるのを耳で確かめた平助は、怪訝な眼差しで風間を見た。
「何があった?」
「別に、何も」
「ふーん…」
「まあ、貴様がくたばっているようなら、あの女を連れて行くつもりだったが」
「おい」
平助の頬が盛大に引きつった。
風間は彼を一瞥すると、つまらなさそうに言い放つ。
「その様子では、まだ先の事のようだ」
「…当たり前だっつの。あいつを残して簡単に逝けっかよ」
平助が渋面を作ると、風間は喉の奥だけで笑ったような気がした。
そしてそののち、茶にだけ手をつけて、早々に立ち去っていく。
訪れてすぐに帰って行く男を見て、千鶴は「どうしたんだろう」と首を傾げる。
平助は何も答える事はなかったが、
(……おせっかいな奴)
心の内で呟いた。
end.
2010/10/03/Twitter