【ED後・沖千】



まるで猫みたい、と千鶴は思った。
膝の上に頭を乗せた総司は、安心しきった顔で寝息を立てている。
そこには京で戦っていた頃のの面影はもはや無い。無邪気な表情を見ていると、幸せな気持ちになり、千鶴は目を細めた。殺されるかもしれないと怯えていた日々が、嘘だったかのように、総司は優しい。

ふと、いたずら心が湧き、さらさらの髪に触わり、忍び笑いを漏らす。すると次第に物足りなくなった少女は、そっと彼の顔を覗きこんだ。

それはほんの出来心。起きているときには出来ないことを、してみたいというもの。

「ぜったいに、起きないで下さいね」

微かな声で呟いて、彼女は己の顔を近づけた。

「それは起きるよ、千鶴」

頬に唇が触れるか触れないかの位置で、急に飛び込んできた声に、千鶴は我にかえる。総司がくっくと笑いながら、彼女を見ていた。

「いつから起きてたんですか」

千鶴が問うと、髪を撫でたのがくすぐったかったと返ってくる。つまりはすべてお見通しだったということだ。

「それで?ちゃんとしてくれないの?」

こうなるともう逃げられそうもない。

意地悪に微笑む彼を少しだけ睨めつけて、

「お願いだから、目だけは瞑っててください」

赤い頬を押さえて、ささやいた。
本当に猫みたいな人。それが嫌じゃないのだから、困ってしまう。

少し息を止めて、優しく口付けた。

end.

2010/09/28/Twitter

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