【薄桜鬼SSL・左之千】
唇を離すと、千鶴は小さく震えて、腕の中に身を預ける。
「はらだ、せんせい」
確かめるように囁いた。その口調に、どんなに理性が揺さぶられるかも知らずに。
「あのな、頼むからその“先生”ってのだけはやめてくれ」
「え?」
「悪いことしてる気になるだろ」
少女は目を瞬かせると、
「……じゃあ、さ、左之助さん?」
戸惑った様子で、何度か練習をしている彼女に、左之助は腕の力を強めた。
「左之助さん」
「千鶴、やっぱり今度にしてくれ」
これ以上はスイッチが入りそうだ、と左之助は思った。鼓動は早い。二人はまだ、終わらない幸福の只中にいる。
end.
2010/09/26/Twitter