1時間目の始まりを知らせる鐘が校舎内に鳴り響くのと同時に瑞希が私達の教室へと入ってきた。

「・・・号令は?」

瑞希の面倒を見ている豊嶋先生が後ろに用意してあった椅子に座ったのを確認した瑞希は始めての授業での第一声をあげた。それを聴いたクラスメートはポカーンとしている。

「クスッ。本格的な改革開始だな。」

私の静かな呟きは誰にも聴こえていないようだ。それだけ、今この現状に誰もが困惑しているのだろう。

「・・・号令は誰ですか?先生が入ってきたらすぐさま、号令をかけるのが基本ですよ?それも習っていないのですか?」

新任の教師が何を言っているんだ、とクラス中が騒ぎ出す。

「川元先生っ!そういうことは良いから授業を進めなさい!」

それを後ろで見ていた先生も口を挟み出す始末だ。豊嶋先生の言葉に瑞希の眉がピクッと反応した。

「そういうこと・・・?これは大事なことではないでしようか?生徒達は教えて貰う側ですよ。教えを乞う先生方に対してお願いします≠竍ありがとうございました%凾フお礼をするのが当然の礼儀では?いくら生徒達の親御さんからお金を頂いているにしても、預かっているのは私達ですから、教育はきちんとしなければなりません!そうではありませんか?お金を頂いているから生徒達の思いのままにする事が正しいとお思いで?」

鋭い目付きの瑞希に突き刺さるように直視され、豊嶋先生は口籠り、俯いてしまった。それを聴いていたクラスメイトも誰1人、口を開こうとはしない。瑞希が言っている事は正論だ。これに太刀打ち出来る者など居ないだろう。
瑞希は黙りきったクラスを見てはぁ・・と溜め息を吐くとまた、話し出した。

「私は貴方達が号令をかけないと始めません。勿論、このままでいても構いませんが、始まりがないという事は終わりもないという事です。放課後になってもずっとこのままでいるのなら家に帰すつもりはありません。」

それだけ言うと口を閉じ、椅子に座った。

「このままで良いのかな〜?」

笑いを含んだ声でそう言うとクラス中から睨まれた。それでも笑ったままでいる私。

「きりーつ!」

沈黙が続く中、痺れを切らした男子生徒が立って号令をかけると忍足や景吾が立った。それにつられてか否かは分からないが、次々と立っていく者達がいる。

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