学校に着いた早々、今まで見たことがない生徒に呼び出された。人気の居ない裏庭まで歩いて来たところで呼び出した生徒は足をとめた。すると、そこで待ち伏せていたのか、忍足や向日、宍戸、鳳、日吉が出て来た。

「ご苦労やったな。」

忍足がそれだけ言うと呼び出した生徒は走って逃げていった。
ああ、弱虫の腰抜けか・・・。そんなことを思い、目の前に居る人達を見据える。

「それで、私に何か用?少しは真実を見付けられたのかな?」

嘲笑うように言い放つ私が相当、気にくわないのだろう、怒りが込み上げて来ているようだ。

「お前が美姫をイジメてるつーのが、真実だろーがっ!」

「頭が固いのね。だから、馬鹿だと言われているんじゃないの、向日くん。」

逆なでするように言い放つと案の定、かぁーっと顔を赤くし、向日は怒りをこちらにぶつけて来る。

「なんだとーっ!?」

そう言って向日は殴りかかってきた。だけど、私にとってこの程度、避けることになんの問題も無い。向日に続いて忍足達も次々に殴りかかってくる。

「くそっ!?ちまちま逃げてんじゃねぇよっ!」

「ちぃっ!?」

軽々と避けられることに気を悪くした向日達は近くに隠していたのだろう、金属バットを取り出し、それで殴りかかってきた。

「はぁっ・・。用意が良いな。」

小さく呟いた言葉は向日達に、はっきりと聴こえていないみたく首を傾げたが、それを気にも留めずバットを振り降ろして来た。それを後ろへ下がり避けようとしたが、壁があり避けることが出来ない。当たる・・・っと思い、両腕でガードし、目を瞑る。

「・・・っ・・・」

「「「!!!?」」」

しかし、あまりにも衝動が来ない事と微かに聞こえた声を不思議に思い、目を開けた。

「あっ・・・芥川。」

目の前には芥川がいて、振り降ろされたバットは芥川の右腕に当たっていた。

「じ、ジローっ!てめぇーっ!」

「そんな奴の味方になるんですかっ!」

芥川に邪魔されたことを怒ってバットを振り降ろそうと勢いよく構えなおした向日達。そのバットが振り降ろされた瞬間、私は芥川の前に出て、バットを掴んだ。

「貴方達、自分が何をしたか分かってる?」

冷たい瞳で向日達を見つめた。バットを掴む手に力を入れる。その力強さにバットを動かすことが出来ない。中学生とはいえ、スポーツをしている男が同じ年頃のましてや、女に力で及ばないのだ。そのことで向日達は心成しか恐怖を覚えた事はいうまでもないだろう。

「私を傷つけるのは別に構わない。だがな。他者を・・・自分達の仲間を傷付けることは許さないっ!」

それだけ言うと相手が言葉を発する暇も与えず、バットから手を離して、腹を殴った。

「うっ・・・」

「ぐはっ・・・」

向日達は殴られたところを抑え、倒れた。その様子を驚きの色を隠すことなく見ていた芥川に私は向き直る。

「芥川、大丈夫か?」

「へーきだよっ!」

芥川は一瞬で元に戻り、へへっと笑いながら、殴られた右腕を後ろへと隠した。

「・・・・・・」

その様子を見て、芥川に近付き、無理矢理だけど、優しく腕を掴み、前に持って来た。殴られた箇所は赤く腫れ上がっている。
相当、力があったからな・・・。軽く腫れ上がった箇所を優しく撫でた。

「・・・っ」

その瞬間、芥川は顔を歪めた。相当痛いようだ。

「芥川・・・悪い・・・」

「徠歌ちゃんが悪いなけじゃないから気にしなくて良いC〜。俺が助けたかっただけだC〜。」

そう言って笑う芥川に罪悪感が沸く。

「・・・手当てするから、保健室行くよ。」

「うん・・・」

それだけ言うと保健室へ向かった。

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