お礼は千姫+千鶴
百合じゃないです。設定的にはエメ
バレンタインその後





担任である土方の挨拶が終わると、皆気だるげに鞄を持って教室の外へと向かう。千鶴もその中の1人で、気だるげではなかったが中身の詰まった鞄の重さにため息をつきつつも教室の外へと向かった。と、その途中でぽんと肩を叩かれ振り返る。肩越しに親友である鈴鹿千の顔。

「千鶴ちゃん、一緒に帰りましょうよ」

笑ってそういう彼女に、千鶴も笑って「うん」と返した。
2人で並んで教室から出て、昇降口へと向かう。廊下には生徒がたくさんいた。
廊下に張ってあるホワイトボードには期末テストの文字。それを見た千はうへぇとうんざりした様な顔をした。

「またテストなのね…この前やったばかりな気がするけど」
「あ、もうそんな時期なんだ」

そのままホワイトボードを通り過ぎて昇降口へ。外の空気の冷たさに驚きつつ、千鶴は首に巻いていたマフラーを少しあげた。

「寒いねー 春はまだ遠いかなぁ」
「本当にね。この学校の桜はきれいだから早く見たいわね」
「うん」

昇降口をでて学校の門からもでて少し歩くとほとんど生徒たちがいなくなる。千はそれを確認すると待っていましたとばかりに千鶴に詰め寄った。

「ねぇ、千鶴ちゃん!昨日は土方先生にチョコはあげられた?」
「ちょ、お千ちゃん声大きい…!」

焦ったように千鶴はきょろきょろと周りを見渡す。ブォンと車が車道を通るだけで、誰もいなかった。

「大丈夫よ!誰もいないんだし。で、どうだったの?」
「え、わ、渡した…」
「じゃああの後見つけられたのね」
「うん」

他の女子生徒からのチョコの嵐を避けるため隠れていた土方を見つけ、千鶴は何とかチョコを渡すことが出来たのだった。渡すまでにも色々とあったのだけれど、それを話すと長くなってしまう。

「土方先生どんな反応だった?」
「え、あ、ありがとなって頭撫でてもらった…」

きらきらとした目で問いかけてくる千に、千鶴は耐えられないとばかりに顔を自分の手で覆ってしまった。

「それだけ?」
「…そ、それだけだよっ!!」

千が首を傾げて聞くと千鶴は一瞬でぼんっと先程よりも顔を赤くして、力いっぱい否定した。

「そう(分かりやすくて可愛いわね)」
「そ、そうなの!」

あっさりと引き下がった千に、千鶴は安堵のため息をつく。

「じゃあそういうことにしといてあげる」

そう言った千は千鶴の手を握る。驚いているがうれしそうに握り返してくる千鶴に、手を離してしまうことへの未練を感じながらす、と離した。
そしてぎゅーと千鶴に抱きつく。

「私千鶴ちゃん大好きよー!」

手を握られたときよりもさらに驚いて、バランスを崩れさせかけた千鶴だったがまたうれしそうに笑って彼女からも抱きついた。

「私もお千ちゃん大好き」

えへへ、と千鶴は照れたように笑った。


乙女の帰り道

話題はテストのことから恋バナから、尽きることなんてないんです。




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