>>#5





シノツカ



転校生がやってきた。


朝学校へ行くと不自然に自分の隣に空いた机がポツリと出来ていたので、


なんとなく勘付いてはいたのだが……


話しかけてみると、そっけない。しかし……異様なオーラを放った女の子だった。


全てを見透かしたような、そんな態度。


休み時間には決まって集まってくる野次馬たちも飽きてきたのか、


彼女に話しかけることはなくなった。



「真田さん?」


「なんか、怖いよね。」



そんな会話も聞くほど。


彼女はこのクラスに馴染んでいない。


ずっと本を読んでいて、話しかける隙を与えない。




「ねーねー真田ちゃん」




身を乗り出して話しかけてみると彼女の眉がピクリと上がる。


少し馴れ馴れしかったようだ。気にせずに話し掛けてみた。



「真田ちゃんの前の学校ってどこだった?」



答えは知っている、幾度となく野次馬たちからされていた質問だったから。



「あなたに…答える必要はないわ」



そうやって彼女はまた本に視線を戻した。



『つれないねー。購買行って、プリン買ってこようかな』、とうちの学校で限定発売しているプリンの事を思った。



すると、一瞬彼女はこちらの方を見てふっと笑った。





ガタンと予想以上に大きな音を立ててしまった椅子に恨めしいと思いながらも、その場から立ち上がった。





読まれた……何故だかそう思った。


素早く教室のドアのほうへ向かい、教室を出る際に彼女の表情を伺う。




「…なんか、険しい顔してたな」


「お前は動揺したよーな顔してっけどな」


突然話しかけられ、顔をそちらへ向けると…




「なんだ、楓か」




見上げるほど背の高い目立つ赤髪がいた。







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