>>#3





サナダ



私には少し変わった部分がある。



読心術。



鍛えたわけでも習ったわけでもないが、私は読心術を知らずのうちに身につけていた。


小さい頃の私は今じゃ考えられないほど明るい性格をしていたと思う。


普通に友達もたくさんいたし、笑い合えてた。


人の言葉を良く考えずに自己中心的な考えを持つ年代までは何も起きなかった。


その頃は自分が心を読めることすら分からなかったと思う。


ただただ、普通に生活できていたのに・・・






事が起こったのは私が小学校3年生のころ。


クラスメイトの友達数人と放課後公園でかくれんぼして遊んでいたときのこと。


「きゃっ」


遊具の裏に隠れていた私の少し近くから小さい悲鳴が聞こえた。


「マイちゃんみっけ!」


そう鬼の子の声。マイちゃんは彼女から見つけられたようだ。


やばい、近いなー見つかるかもー。


なんて思いつつも早く見つけ出して欲しい感情があったのも否定しない。



「あとは、河内くんと葵ちゃんだけだね!」


「あの二人はかくれんぼのプロファッショナルだからねえ」


「わからないなら無理して英語使わなくていいよ、マイちゃん。」




そんな二人の会話に思わず笑いそうになるのを必死にこらえる。



「へ?まあいいや、探すの手伝うよ向こう行ってみようー」




二人の足音が遠くなる。辺りだいぶ暗くなってきた。


最終的に見つけてもらえず、終了の5時の鐘がなってしまった。


ちょっと残念。そう思ったが、隠れていた遊具から身を出して集合場所に向かった。




その時、「葵ちゃんも見つけてもらえなかったんだっ!」




無邪気に話しかけてくるのは河内くん。



「うん!河内君も?さすがプロファッショナルだねっ」


「あ、マイちゃんの言い間違い?葵ちゃんも聞いてたんだね」


「意外とみんな近くに隠れてたんだねー、知らなかった!」




そうやって二人で顔を見合わせて笑った。


河内君はクラスの人気者。頭が良くて、足も速く気さくな性格だった彼。


たくさんの人が河内くんに憧れていた。


私も例外ではない。ひそかに河内くんに想いを寄せていた。


集合場所までの短い距離を二人で歩く。それだけでも嬉しかった。


なのに、『葵ちゃんかわいいなあ』なんて河内が言うから。



「ホント!?」



嬉しくなって声を張り上げてしまった。



「え、何が?」



と即答されてしまった。


かわいいって言ったくせに。そう思ってちょっと悲しくなった。



「ううん、なんでもない。」


『変なのー』



「変じゃないもん」


『・・・・・え?』



「へ?」


「は?」



河内くんは驚いたようにこちらを見ている。


まじまじとわたしの顔を見るから、



「河内くん、さっき私の事変って言ったじゃん」うじうじとそう告げる。


「え、俺なにも言ってないんだけど・・・」



ん?と頭を傾げる。確かに河内くんはそう言ったはずなのに。


私のなかで何か違和感が起こる瞬間だった。




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