>>#2





サナダ



新しい環境。つまりそれは私にとって大きな変化があるということ。


高校も変えた。同時に髪の毛を幾分か短くした。


しかし、この行為も所詮は見た目を変えるだけ。


これだけでは薄汚れた雲に覆われた私の心を一掃することなど不可能であった。


朝、穏やかな雰囲気の先生に連れられ新しい環境へ踏み入れた。


好奇心が作り出す騒々しさに腹をたてがら、


自己紹介をして自分のために空いていたであろう席に腰掛けた。


すると隣の席のメガネをかけた男子生徒に声をかけられた。



「葵ちゃんっていうんだね。俺、篠塚樹。よろしくね。」



爽やかな笑顔を飛ばしながら挨拶してくるそいつ。


ああ、実にメンドクサイ。感情がただ漏れだ。


『こんな時期に転校生だなんて、めずらしい。』そう言っている。


一応話しかけられたので、しょうがなく「よろしく」と返事をする。


すると流れる新しいこいつの感情『うっわあ。超無愛想〜かわいくねぇ〜』。


随分と失礼な物言いだ。


あのように話しかけられては、返事はよろしくのただひとつではないか。


他に正解があるとするならば、きっちり教えてほしいものだ。


独り、隣の男に悪態をついていたそのとき、ガララララとういう扉の開く音。




そして、


「あい、センセーおはよーございます」



覇気の感じられない声で発せられた挨拶。



『アオイ君だ、かっこいい』『またアオイ遅刻かよ、懲りねえなぁ』



クラスのそんな心の声が聞こえてきたので、そのアオイという人物をチラリと見た。


制服はだいぶ着崩され、髪の毛は鮮やかな赤。


耳にはたくさんのピアス。――不良かしら。


彼はだるそうに髪の毛を掻きながら前のほうの席を目指している。


背はだいぶ高いようだ。


私は視線を机に戻したが、もう一度彼を見たときバチっと目が合ってしまった。


―――『誰だ?あいつ。』


それが聞こえたので、私は慌てて彼から窓の景色へと視線をそらした。




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