>> ライ・ディテクター下





「よぉ、圭一…と姉御にチャイナ?」



爽やかにやって来たその男は、

僕の傍らにいる2人に気づくと慌てたように後ろへ一歩下がった。

なにをそこまで慌てている。



「総悟。お前相当、趣味悪いね。」



と、奴の肩にぽんと手を乗せると、即座に手を振り払われた。

うっせェと顔を背ける総悟。きっと顔は赤面しているのだろうか。可愛いやつめ。

と、思いきや。奴は平然とした顔で左手を出した。

その手が催促するのは、


「はい、携帯。もう忘れないでよ。面倒くさい」


青い携帯。



「じゃあ俺帰るわ、サンキュー」「姉御、帰ろ」


2つの声が聞こえたのはほぼ同時。

そして、2つの顔が嫌そうに歪んだのもほぼ同時。

なるほど、そういうことか。悟ったように笑うと、総悟に鋭く睨まれてしまった。




「総悟、また家においでよ。新作がでたらしいから。」

自分より数センチほど小さいその頭の上をぱふぱふと手を跳ねさせる。

やっていて気持ち悪い。吐きたくなった。


しかし、お団子頭の神楽ちゃんが難しい顔になっているのを確認すると、面白くなる。



「まさかお前、昨日の事本気で・・・いでっ」

「帰れ」


勘違いしそうになる我が幼馴染の背中を押して、見送った。

難しい顔をしている彼女のほうへ体を向ける。

彼女の額を人差し指でつんと押す。顔を幾分か近づけ、耳元でこう問うた。



「総悟の事好き?」


頭がもげんばかりに激しく横に振る。


「君は嘘を吐いている」


また同じようにそれを横に振る。この子は全く可愛くない。


「そっか、それは良かった。後で文句言われても面倒だからね。ライバルにならなくて良かったよ」


頼子ちゃんを待っていなくてはいけないのだが、なんとなく立ち去りたい気分になった。

体を翻して歩き出す僕の体を何かがそれを止める。

こうでないと面白くない。



「待つネ!…やっぱり、私…」



顔をやや俯かせてもごもごと言葉を紡ぎ出すその口を手のひらで塞いだ。

別に僕が聞いても利益の無いことだ。その言葉は本人に言うべきである。



「あ…ごめん、待たせたね。行こうか」



ちょうど門の近くに来ていた頼子ちゃんの存在を認め声を掛ける。

ぽかんと口を開いて放心している神楽ちゃんと連れの美人にまたねと挨拶をして、

頼子ちゃんのところへ駆け寄った。

何秒か経ったあとに「ぶっ殺してやるー」などとはしたない言葉が聞こえたが、聞こえないフリをした。



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