>> ライ・ディテクター上








隣町の銀魂高校。いたって普通の公立校である。

偏差値もやや低めではあるが普通。

そんな中、3年Z組というアホや馬鹿・個性的な容姿を

持つものが集まったクラスがあるという。

僕も同じく3年生。

世は受験シーズンだと言うのに、本当にそのクラス'出身'の奴を見ていて思う。




「総悟、お前受験生でしょ。勉強しなくてもいいの。」



この男にこの質問は愚問だろうか。

ケロっとした顔をして尚も目の前のビデオゲームに夢中になっている。

栗色の髪を持つこの男は僕の幼馴染。

幼稚園から一緒で小学校をあがるとともに僕は隣町に引っ越した。



それからはメールとかでしかコンタクトを取っていなかったのだが、

最近はよく僕の家に遊びに来るとことが多くなった。

その大体の理由がコレ。

父親がゲーム会社に勤めているため家にはゲームが沢山ある。

ゲームの感想をしつこいほどに聞いてくる父。

生糞、僕はゲームなどそういう類のものが苦手だ。

そこで役に立ってくれたのが、総悟だったという訳だ。



「なァ、圭一。お前、今の彼女ともうヤった?」


思っても見なかった質問に飲んでいたオレンジジュースを吹いてしまいそうになった。

まず肯定も否定できない。今は彼女がいないのだから。

性格がどれだけ曲がっていても容姿だけは良いこの男。

バレンタインデーなどそういう浮かれた行事には大活躍する。

去年は自転車の前カゴパンパンにお菓子を詰めてここまでやって来た。


驚いたことにそんな奴でも彼女ができたことがない、純情くんである。

そういった面では僕のほうが有利だ。

頭の面でも性格の面でも上回っているかもしれないが。黙っておこう。



「今はいないから。」

「ふーん。珍しい。」


そいつは、にやりと口角を上げてそう言った。

人をチャラ男呼ばわりするのはよしてほしい。

確かに、絶えず彼女がいたような気もしないでもないが。

来るもの拒まず去るもの追わず。

女というものは面倒くさい生き物だ。

どう対応したらいいのか判らず放置していたらすぐ別れが来る。

その内気づけば新しい彼女ができている。そんなものだろう。



「何、もう全部食っちまったとか?」



下品だ、この男は。

とりあえず無視していると、肩に手を置かれてそのまま床に押し倒された。



「もう男しか残ってねーんじゃ?どう、幼馴染とか」



男という生き物も面倒くさいかもしれない。

人差し指をそいつの額にぐいぐいと押し付け、近づいてくる頭を人差し指で抵抗する。

いや冗談抜きで、本当に気持ち悪い。


ため息をひとつ吐いて、楽しそうな目の前の男に言う。



「神楽ちゃんとやらとまた喧嘩でもしたの。」


すると直ぐに舌打ちをして離れていく総悟。本当に面倒くさいな、人間は。

僕の家に総悟が来る時は大抵、その神楽ちゃんが関係している。



「名前で呼ぶんじゃねェ。気色悪ィ。」

「……青いな」



と一言呟いて、攻撃が来る前に空いたグラスを片すため立ち上がった。





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