>> 肉を裂いて愛でる





いつもの様に公園に行けば、いつものようにベンチに横たわる、いつもの亜麻色の髪色をした男。

昨日と同じ誘い文句で挑発すれば、彼はいつものように剣を抜く。


「うおりゃああ」


女の子らしからぬ奇声を上げて、番傘を振りかざす。

彼はぐっと自分の剣で持ちこたえるけれど、今日の奴はいつもより動きが鈍い。

ちゃんと攻撃を受け止める、しかし一向に攻撃をしようとしてこない。

普段と違うその反応に、戸惑う。

気づけば私は自分の傘を下に降ろした。


「何で攻撃してこないネ」

「夜兎はすぐに傷が治るんだよなァ」


そう問いただせば、返ってきた言葉はあまりにも阿呆らしくて。

そうヨ!と目を瞑り両手を腰に手をやりどや顔で返すと、途端に頬に微かな痛み。

驚いて目を開くと刀一本分の距離に彼はいた。


「不意打ちは卑怯アル!」


じわりと出てきた血が頬を撫でる感覚。

掠っただけの刀からは微量の血が垂れた。


「このくらいの傷だったらどのくらいで治る?」


あまりにも真剣な顔で聞いてくるものだから、


「こんなかすり傷すぐに治るネ。今だってもう傷口は塞がってる」


普通に答えてしまった。


「夜兎は便利だな。」


異様な笑顔を貼り付けて彼はまた足を進めた。

じりじりと近づく彼から逃げるように下がる。

今、この男から溢れる狂気。それに触れたら自分も壊れてしまうような気がした。


「っち、近いアル」


気づけばキスできるぐらいに近づいたその男の顔。

綺麗な顔立ちをしているその顔は今では恐ろしいぐらいに歪んでいる。



「お前の血でも飲んだらその能力使えるかねェ」


ねろりと熱い舌の感触を頬に感じて、自分の持てる精一杯の力で目の前の男を突き飛ばした。

軽く5メートルは飛んだと思う。突き飛ばした瞬間、身体を反転させて万事屋まで走った。


ようやく玄関に着いたら、小刻みに震える自分の身体はガタガタと崩れる。

それと同時に何か自身を形成する大事なものまで崩れ去る音がした。


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