>> 暗中模索





厭らしく身体に触れる指先に翻弄される。

それがどうしても悔しくて口を閉ざす。

「我慢しなくてもいいよ」

なんて。私にかける口調は普段と変わらないのに、視線の向こうに熱の篭った目が見える。


「ねえ、何故人は触れ合うの?」

そんな疑問も声に出されることはなくて。ただ月明かりの差す静かな空間に吐息だけが響く。

何度身体を重ねようとも、愛なんてもの感じなくて。ならば、この行為は一体何なのだろう。


「……こわい」

薄暗い部屋も、絶えず受ける刺激も、すべて。自分が自分ではないという恐怖と少しの好奇心。

すべてが怖くなった。

ぼうとそんな事を考えていると頬を両手で挟まれた。


一気に脳は引き戻される。

「ちゃんと集中しようか、総ちゃん」

そして、―――快楽に溺れる



最中、言われる甘い言葉の数々。低く囁かれれば身体の奥が疼く。


「愛してるよ」

本当に?

「俺のことも愛して」

どうやって?


返す言葉が見つからなくて、ただ涙が零れた。

途端に止まる動きに身体を起こせば、俯く銀髪の頭。

力の入らない腕に力をこめて手を伸ばす。

頬から耳にかけてそっと触れると苦虫を噛んだような顔が現れる。


違う。そんな顔をさせたかった訳じゃない。

この行為をする意味も人を愛すことも理解できない私はまだまだ子供。

子供なりに背伸びしたい幼稚な心理。


ぎゅっと大きな腕に抱きしめられて篭められる力に、今はただ身を委ねよう。

まだ全てを理解できるほど私は大人じゃないから。

そっと腕を回して半分にも満たない力を返すと、貴方はただ震える声で言った。

「ごめん。ありがとう」

と。それが何を意味しているのか分からないけれど、何も言わなくて良いような気がした。

確かに胸に残る塊を取り出すことができないほど私は臆病で弱い。




沖田は自分の土方へ向ける感情に知らぬ振りをする。
土方は年の差、沖田がまだ大人の世界に入るには早すぎたのではと罪悪感でも感じていればいい。^^




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