>> 局中法度違反









「総ちゃん、総ちゃん」

「・・・副長。・・・なんですか、こんな時間に」



そっと総楽の部屋の襖を開けると、眠そうに布団から顔を出す。

柔らかそうな手で目を擦る姿はまだ幼い。

自分よりもだいぶ離れている年齢。

初対面ではすごく小さかった彼女は、もう18歳。

ふっくらと成長した身体はもう大人の女性だった。



しかし、彼女に何も感じない自分自身もまた、大人だった。

総楽は俺の右手に持っている袋に視線を移す。



「あ、ハンバーガー」

「そう。こっそり買ってきちゃった」

「新八にバレたら呪われますよ」



永倉の大好物であるハンバーガー。

消灯時間が過ぎて、廊下をうろつくのも他人の部屋へ訪れるのも、

そこでハンバーガーを食べることも。

全て自分が決めた局中法度により禁止されているのだが、

俺達はこうやって時々それを破って楽しいハンバーガータイムを過ごす。



永倉にばれると言った本人もその口をにやりと上げてその袋に手を伸ばす。



俺達は、共犯者だ。



「総ちゃん、ほっぺにタルタルソースついてる」

「とって、土方」



俺をなめてかかっているこの餓鬼は、大きな口を開けて尚もハンバーガーを頬張る。

総楽のほっぺについた白いソースを指で掬ってそれを見せ付けるように舐めてみせる。

その様子を見ていた彼女だが、すぐに少し顔を顰めて、



「土方顔キモい・・・」



・・・まだ、



「総ちゃんには分からないさ」



そう。君にはまだ大人の世界を知るにはまだ早い。





(そんなにフィッシュバーガーが食べたかったなら

言ってくれればよかったのに、私、照り焼きバーガー食べたかった)

(総ちゃんにはまだ照り焼きチキンは早いんだよ)

(・・・・でも、土方さんに内緒で何度か食べました。)

(何!?)






お互い年頃でもやましい気持ちは全く生まれない。
土方は沖田を女としてみないように日々必死。


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