>> ぬくぬく
「ねえ、土方さん」
「なあに、沖田さん」
いいかげんにして欲しい。
邪魔にもほどがあるのだけれど。
「気が散るんで自室に戻ってもらえませんか?」
今にも爆発しそうな気持ちを抑えてにこやかにそう言ってやる。
「いやあね、ウチの部屋のヒーター壊れちゃってさあ。さっむいんだよね」
「永倉のでも引っ張ってくればいいじゃないですか。邪魔なんですけど。それに・・・」
―それに・・・そんなに見つめられていたら、目の前にある報告書に集中できやしない。
ため息をひとつ落として、立ち上がる。
ヒーターの前でくつろいでいる上司にゆっくりと歩み寄る。
男は私が十分に近づいてから閉じていた口を開いた。
「あら、どうしたの?」・・・なんて。
白々した言い方に多少のイラつきを覚えて、一発。
「ぃぃぃいいってぇええ!」
かかと落しをお見舞いしました。
次の日、廊下ですれ違った永倉に
「沖田隊長のせいで僕の部屋、氷点下いきそうなんですけど!」と、泣きつかれた。
(ストーブぐらい自分で買ったら?)
(それは土方副長に言うべきセリフだったんじゃないですか!!??)