>>Gの音
ここはブラックルーム。
広い部屋に黒いグランドピアノが一台ぽつんと置いてある。
俺はそのピアノに近づきその肢体を撫でる。
そっと蓋を開け、並んだ黒と白の鍵盤を見張る。
Gの鍵盤に手を沿え、その1音だけを奏でる。
G――――それはマカが選んだ音。
G――――それはマカの魂の音。
G――――それはマカの存在を表す音。
分かりやすくてマカらしいと思った。
「ソウル。」
振り返ればドレスを着たマカの姿。
「なんでここに居るんだ?」
そう問と、今はバトル中、魂の共鳴中だよ。とごもっともな返答。
「ねえ、その音って私が選んだ音だよね?」
「ああGだよ」
「Gって言われてもよく分からない。ドレミでいうとどの音?」
マカは音楽IQがすごく低いから音楽に関しては無知に等しい。
えっと、Gは、
「ピアノでいうとソだな」
マカは俺のすぐ後ろに立ち、『ソ』の鍵に添えていた俺の手を包み、こう言った。
「じゃあGはソウルのソだね」
なんて。満面の笑みでこちらを見てくるから恥ずかしくなって
「ああ」とそっけない返事とポーカーフェイスを心掛ける。
「じゃあ行くよ、ソウル!」
やっぱりマカは天使だ。天使型
エグリゴリ
といわれる理由が少し分かった気がした。
(ちょっとソウル、集中してよ。魂が不安定だよ?)
(るせー。誰の所為だよ)