>> 寒さと、りんごと、微熱と・4







と、まぁこんな訳で神楽は頓所にいるのである。





「…おい チャイナァ、どういう風の吹き回しでィ?」



「う、うるさいネ!別にお前の心配して来たんじゃないアル!

…マヨラがりんご食べ放題って言うから」





「だったら林檎くらい剥きなせェ」



ほんのすこしの間を持ってから室内に響き始めたシャリシャリという音。



総悟は気だるさに目を閉じながらその音を聞いていた

シャリシャリと音を立てては止まりまた音が鳴る





「チャイナさーん、隊長の分とチャイナさんのお茶置いておきますねー」



山崎の声が部屋の外からした。

わかったアル、と茶を取りに行こうとして立ち上がろうとする神楽の手を瞬時に引く。



するといきなりの行動に遅れをとった神楽が総悟の上に倒れこむ。





「なななな、なにするネ?!」



「うるせぇー…。俺は病人だぞクソチャイナ」



なんだかんだ言いながら総悟は神楽の手を離そうとしない。



「離すヨロ「この部屋ァ、寒いんでィ」



神楽がはっとした時にはもう布団の中で総悟に抱きかかえられていた。



「ちょっ!沖田ッ…!」



「寒いって言ってんだろィ」



「しょ、しょうがないアルな。今日だけだからなッ」





目の前で自分に抱きついたまま寝息を立てる男にあたふたしながらも、

人の体温っていうのは心地いいもので神楽の瞼も重くなっていった。



総悟が目覚めたとき、隣にいた少女はいなくなっていたけど、布団に微かに温もりを感じた。



そうして枕元においてあった歪な少し痛んだ林檎を口にいれる。



シャリ



「甘ェ」 



あとがき

やっと終了です。長かったです。
何が甘いかって?色々甘い!
2人が醸し出す雰囲気ですら甘いです。
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