>> 寒さと、りんごと、微熱と・3
それから一週間、雪もこないだよりはマシになってきていた。
万事屋は今日も代わり映えのない朝、いや昼を迎えていた。
「雪ってやつは、悲しいもんじゃねぇか、雪も桜も女みたいだな」
「どうしたんですか銀さん。雪の見すぎで頭ん中も真っ白になりましたか?」
「ぁあ?俺の頭は白髪じゃなくて銀髪だからね」
「はいはい」
適当な新八の答えに構わず銀時は続ける。
「桜も雪も咲いてるときや降ってる時はきらきら輝いてんのによぉ、
その散り方や溶け方なんて醜くてありゃまるでばばぁのようだね」
あぁ銀さんは暇なんだろうなぁなんて新八は適当に返事をした。
「なら醜くいばばぁが家の前に散乱する前に雪かきでもしてきて下さいよ」
「もうありゃ手遅れだよ。雪かきなんかで消せるならとうにしてらぁ。
あれは雪なんて健気なもんじゃないね。家賃たかるただの銭ばばと猫ばばぁだよ」
「雪の話からずいぶんと違う話に飛びましたね」
「まぁ雪かきなんて神楽にやらせたらいんじゃねぇの?てか神楽は?まだ寝てんの?」
「神楽ちゃんなら僕が来た時にはもういませんでしたよ」
「あぁそう」
気づかなかったなぁ なんてぼやく銀時は興味なさそうに新聞に目をうつした。
「雪が全部溶ける前に遊んどくアル!」
そう意気込んで家出てきたのはもう数時間前。
そして遊び仲間を集めるために歌舞伎町内を歩いていた神楽。
だが、どう転んだらこうなるのか、外で遊んでいるはずの神楽は何故か頓所にいた。
事は約30分前くらいにさかのぼる。
「あれ、チャイナじゃねぇか。お前は元気なんだな」
「元気じゃ悪いのかヨ。どーゆう意味ネ」
町でばったりあった土方にへんな事を言われ多少イラつく神楽
「いや、うちの総悟はそこまで馬鹿じゃなかったって事だな」
「何が言いたいアル?私が馬鹿って言いたいアルか?」
土方の遠回しな言い方にイライラして口調がぶっきらぼうになる
「お前が総悟を川に投げてくれたおかげでうっとうしい奴が静かになってくれたって事よ」
「それはよかったアルな」
「林檎剥きにくるってぇなら昼飯おごるぜ」
「剥いた林檎は食っていんだろうな?」
「好きにしろ」
ニヤッと口角をあげ、昼飯はご飯ですよがかかったご飯がいいと言う神楽に
山崎にでも用意させるか、と土方は頓所で食わせてやると 頓所への道を歩き出した。