花火



8月×日 今日は待ちに待った花火大会。

「見て見て!神楽ちゃん!このお面、じぃやそっくり〜!!」
「ほんとアル!あっ、そよちゃん!こっちは銀ちゃんそっくりの毛玉のお面アルぅ〜」
「わぁ、本当!ふわふわの…神楽ちゃん、これボーボボーボじゃ…」

爆発した時の銀ちゃんと同じ頭ネ!さっきもどうやっても髪が跳ねるとか1時間くらい鏡をセンキョしてたけど、あの頭がどうにかなったこと1度もないネ。そもそもアイツと出かけるのにメカシ付けるなんて男の風上にも置けないヤツネ。銀ちゃんいつからあんなメメしいモヤシ野郎になったアルか。
そういえばいつもの着流しもやめて浴衣出してたアル。ワタシは姉御のお古なのに、なんで銀ちゃんはあんな高級そうな浴衣持ってるアルか!
…!まさか!!まさかアイツに貢いで貰ったんじゃ…!!
銀ちゃん!どこまで落ちればいいアルかぁぁぁぁ!!!

「神楽ちゃん、神楽ちゃん!あそこにいるの、銀さんじゃない?」
「え?あっ!あの頭は銀ちゃんアルネ!銀ちゃー…、」

ビックリしたアル。
銀ちゃんが人に物を買ってるネ。ワタシがどんなに欲しいと言っても「酢昆布食っとけ」だの「お前には10年早い」だの「ババァに買って貰え」だのばっかで全然買ってくれないのに。
なんでそんな嬉しそうな顔して買ってるアルか。
お金使うの、いっつも嫌そうな顔ばっかりしてるのに。
アイツに買うの、そんなに嬉しいアルか。

「…銀ちゃんのバカ」

何あるか、その浴衣。アイツもアイツネ。お揃いのみたいに浴衣着ちゃって、バカみたいアル。こんな縁日にフラフラしてるなんてケイサツが何やってるネ。この税金泥棒が!
って、言わないのか銀ちゃん。

「行こう!そよちゃん!花火もうすぐ始まっちゃうネ!」
「えっ、えっ、神楽ちゃん!銀さん達に声かけないの?」
「ほっとくね、あのバカ2人は。あんな人ごみだからって平気で手なんか繋ぐドSの癖にドMなバカップルは脳みそが花火みたいに爆発するネ」

いつもはワタシの前でイチャイチャなんかしない銀ちゃん。サド丸もツンツンツンツンしてやたらワタシに絡んで来るくせに、いっつも万事屋のソファに転がってる。
いくらワタシがお子様だって、もう立派なレディアル。それくらいサッシがつくアル。
気を使ってやって新八のところに行ってやってるのに、今日はワタシがいないからってあんなに堂々とイチャつかなくても…ワタシはそんなヤブヘビじゃないネ!

「わぁ!!!ここ凄く花火が見える!!さすが神楽ちゃん!!」
「ソウ!ここはサイコーの穴場ネ!去年銀ちゃん達と見つけ…」

ソウネ。去年銀ちゃん達と見つけたアル。人ごみから離れた林のスソ。ここなら人が少ないからって銀ちゃんと見つけた穴場。毎年ここにしようねって3人で喜んだアル。
だから今年は銀ちゃんもいないしもっと広々とそよちゃんと見れる、って思ったネ。
銀ちゃんも同じアルか。
アイツと見るアルか。

そんな中に入っちゃったら、花火なんか見えないヨ。
ま、あのタダレタ大人は花火なんか見ないアルね。不潔アル。

「ね、お土産にラムネ買って帰ろうね」
「…そうアルな。銀ちゃんと新八と…アイツのは買ってやらないネ」
「え?」
「何でもないアル」

ラムネ3本買ったけど、この1本はワタシのネ。そよちゃんと飲んだ1本はカウントされないネ。
だいたい…銀ちゃんいつ帰ってくるかわかんないネ。そのまま熊に襲われればいいヨロシ。

「ただいまヨー」

返事なんてなくても寂しくないアル。定春抱っこして寝るアル。いっつも定春は抱いて寝るなって銀ちゃん言うけど、今日はきっとゴゼンサマだからかまわないネ。
キャホーイ!ワタシの天下アル!

まだ頭の中にあのドォンドォンと弾ける爆発音が残ってるネ。銀ちゃんも聞いたアルか?今日のはサイコーだったアルヨ。


アレ、ワタシ、ラムネは冷蔵庫に入れたアル。
なんでこんなところに2本…。

「おいチャイナァ、1本は眼鏡のだかんな」
「こんな生ぬるいラムネなんか飲めないネ。冷蔵庫にあるオマエのヤツと交換するネ」

何そんなボサボサの頭でキョトンとしてるネ。どうせ銀ちゃんお昼まで起きないんだから全部冷やせばいいアル。
あー、気が利くアルなーワタシ。

「あ、冷蔵庫のヤツは全部飲んだぜィ?」
「お前の迎えは110番でいいアルか」


end?

*****
アルアル言い過ぎました(反省)


end?

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