フィリア・サーストは無痛症の女の子。
愛と痛みを求める哀れな子。
それは、そんな彼女が満たされるひととき。
自分でも頬が弛緩するのが分かった。
喉からはしたない笑い声が溢れたけど、すぐ男の絶叫で掻き消される。
嗚呼、最高のハーモニーだわ。
きっと私の顔は今、恍惚の表情をしているでしょうね。
だって、こんなに満たされてる。
ふふふ。そんなに顔を歪めてさぞ痛いのでしょうね?
私も初めてこれをされた時は痛みでトびそうになったもの。
そりゃあ当然よ。
痛みを感じてもらわなければ困るわ。
今の私はもう、何も感じないけど。
貴方が羨ましい。本当に。
痛みで頭がショートして何も考えられなくなるとことか、傷口が焼けるように熱を帯びる感覚とか、叫ぶ度に喉が張り裂けそうになるあの感じ。
最高よね。とっても懐かしい。
どうして「やめて」だなんて懇願するの?
貴方には痛みを感じることが出来るのに?
愛してもらうことが出来るのに?
ずるい。ずるいわ。
私は何も感じないのに。
貴方みたいに痛みを感じることが出来れば、もう一度愛してもらえるのに。
何故「殺してくれ」だなんて言うの?
まだまだお楽しみはこれからよ?
私を愉しませてね。
そして、もう一度あの感覚を思い出させて。
最近自分の傷を見ても、どれ程の痛みだったか思い出せないことがあるの。
でも貴方のおかげで大丈夫そう。
私に、その痛みを、伝えてね。