柔らかな光のヴェールに包まれて、僕は目覚めた。木々の葉の間から淡く優しい光が漏れて、僕に降りかかる。ほのかに温かいそれは、ゆるやかに目蓋を刺激する。
背中にゴツゴツとした堅い感覚。
その違和感に、意識がはっきりと覚醒する。
ああ、そうだ。森の中で寝たんだった。
凝り固まった体を伸びをしてほぐす。
若葉が日光を照り返し、瑞々しく震えている。
近くで清らかに流れる水の音が聞こえた。
まるで女神の息吹のように、風が僕を愛撫した。
乾いた土と若草の香りが心地よかった。
その森は夜とはまた異なった姿を見せていた。
黒々と闇に塗りつぶされていた木々からは青白い月明かりがこぼれ、その様子は女がひっそりと声を殺して涙を流しているようだった。
梟の声と枝葉の騒めきが不気味に響き、身が震えた。
それがどうだ。
木々は今や暖かな光を纏い、生き生きと佇んでいた。小鳥たちは高らかに囀り、祝福するかのようだった。若葉が擦れあい、軽やかに音を立てていた。