ベッドに横たわる小さな彼女を見下ろす。
シミひとつない、清潔なシーツに包まる愛おしい彼女は、まだ目を覚まさないようだった。
ビスクドールのように白くて滑らかな肌に手を這わせる。
鎖骨から首筋、そして頬へと。
流れるような優しい手つきで。
「やっぱり君は美しいね。」
零れ出た言葉に、勿論返事なんてなかった。
眠り込む彼女はまるで待雪草のように淑やかで綺麗だ。
剥き出しの彼女の雪のような冷たい手をとって、整った爪先に口付けをする。
音のない静寂な部屋にリップ音がやけに響く。
当然だが、彼女は為されるがままだった。
「君を愛している。」
乱れた前髪を丁寧に指でそっと梳く。
返ってくる言葉なんてなくても、その髪の柔らかさが僕を満足させる。
「これからはずっと一緒だよ。」
彼女の耳に口を寄せて囁いた。
僕は幸せ者だ。
例えあの薔薇色の唇が弧を描かなくても。
君がもう動かなくても。
君を一生離さない。