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しゃらりとガラステーブルの上に静かな音をたてる。


もう、7年? 8年? 時が経っても錆1つなく、贈られたときの綺麗さを保っているネックレスが光に反射して輝く。


付き合って1年の記念に、って。すこし背伸びをしたあなたが贈ってくれた。嬉しくて嬉しくて、それからずっと肌身離さず付けていた。




「きょうね、誕生日なの」




独りになった部屋で、しんみりしてみる。
あーあ、またおばさんに近づいちゃった。
誕生日が来るの、嫌だったんだ。この間までは。


歳を重ねることが、嫌だった。
だって、“生きてる”みたいだったから。




「きょうね、結婚するよ」




部屋のドアが開いて、そのまま背後に近づく気配がしたけど、振り向かない。


歳を重ねて、綺麗になっていこう、と。ネックレス、似合ってるよ、と。そう言ってくれたこのひとと。
わたしが大切にしているものを、自分も大切にしたい、そう受け入れてくれたこのひとと。


あなたのお母さんは、泣いて喜んでくれた。ありがとう、となぜか感謝までされた。



しゃらりとガラステーブルに置かれたそれを拾い、胸元あたりに再び輝きをつくる。




これは、あなたが存在した証。




しがらみの痕跡に愛惜を
(あなたとの繋がりが存在したことを大切にしたい)






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