実写/ブラックアウト | ナノ
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あったかいね

疲れた体に、ブラックアウト一杯。かなり短めです。


あったかいね



上瞼と、下瞼が仲良しだ。
くっつきたがっている。だけど、もうひと頑張りしなくてはならない。ソファの上で寛いでいるブラックアウトは目を閉じて、その太腿の上にスコルポノックが眠っている。それを見るだけで心に穏やかさが戻る。
さあ頑張ろうと空けたマグカップをシンクで洗う。洗剤、なくなりそう。買い足さなければ。滴る手を拭き、残る仕事を片付けようと別室に入ろうとしたら、肩に違和感。
「───!?」
ブラックアウトのおでこが肩に乗っている。
「え、───」
「……まだかかるのか」
背中で聞こえる低い声はくぐもった。
「あ、……そう、だね。もう少し……」
ぎゅう、と抱き込められる。かなり強い。
「……まちくたびれた……」
子供のような台詞に、ただ口をひき結んで瞬きを何度もした。
「……少しでいい。時間をくれ」
そう言って背の高いブラックアウトは簡単に肩に身体を持ち上げ引っ掛けた。お腹に圧が急にかかってぐえ、と変な声が出る。
ブラックアウトは歩いて行き、そのままストン、とソファに戻った拍子に、背後から抱っこされる形で座った。ふあ、と体が浮いて、ソファで沈む。彼の抱き締める力はさっきとあまり変わらなくて、仕事はしなくちゃいけないけれど、もがいたらもがいただけ雁字搦めにされそうで、やめた。
「少し、落ち着け……」
肩の力を抜いた。
「……」
「……」
ブラックアウトを背中に感じて、世界がゆっくり動くように感じた。ここが何処よりも安心する場所なのかもしれない。
ふと視線を感じて横を見ると、スコルポノックが口を開けてブラックアウトとこちらを交互に見ている。くる?と笑顔で促すと、スコルポノックは満足げに膝のところで蹲った。その重みが疲れた体になぜか心地よかった。
「……スコルポノック、少し……外せるか」
蹲った顔が上げられる。無表情のスコルポノックに、待ってろ、少しだけ。そう言って、ブラックアウトはまた抱き締める力を強くした。
「加減……、やっと分かってきた」
抱き締める、加減。心のままにすると潰すだろうな、とさも当たり前のように呟いた彼を思い出した。そんな事もあったね。
そんなひとつひとつも、この先も、ずっとそうやって、二人の生き方を考えていくんだね。そう思ったら、この時が愛しくて愛しくて、ブラックアウトが欲しくてたまらなくなった。
「……休憩、する。やっぱり……」
そう言って、振り返ると彼はいつも通り何も変わらない、無表情。
「そうか、気が変わったのなら何よりだ」
少し上機嫌な声になったのも、多分、世界で自分だけしか気がつかない、はず。
口づけをしてくれた彼の首に、両手を絡ませた。

2017/09/15
With Blackout(and Scorponok)