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TVボーイ



※トキヤとHAYATO双子設定です!!HAYAトキ前提の音トキなので大丈夫だよという方のみお願いします。
※HAYATOくんは枕営業してますがそういった描写は特にありません。HAYAトキのほうが描写が濃いです。ご注意ください。



それまで、兄とタイプは違えどもそれなりにうまくはやっているつもりだった。確かに、彼と私は性格がまるで正反対だ。それでも私は兄のまわりまで明るく元気づけるような姿勢と歌声は好きだった。
兄もまた、私の歌声が好きだと言ってくれていた。芸能界に先立つ彼の背中を見て、テレビに映る彼を見て、やはり自分も同じ世界に立ちたいと思うようになった。少しでも早く彼に追いつきたいがため、早乙女学園に入学することにしたのだ。

「えっ?」
「早乙女学園に入学することにしたんです」

兄の部屋へ入ると、彼はちょうど自分の載っていた雑誌をファイリングしているところだった。彼は案外几帳面なところがあり、自分の出た雑誌の切り抜きはすべて保存してあるし、テレビ番組やDVDも放送時には必ずチェックをしていた。
普段ヘラヘラしているように見えるが、元々自分にはシビアな人間だ。そのプロ意識には頭が下がるし、同時に尊敬もしていた。

「早乙女学園って…トキヤ、アイドル目指すの?」
「ええ…ですから、今度の春から寮生活になるんです」
「僕は反対だなあ。君は向いてない」

パラパラと兄は机で作業をしたままこちらを振り向くことがない。穏やかな口調であるが表情が読めなかった。

「…っ私は、あなたに少しでも追いつきたくて…」
「僕に?どうして?双子だから?」
「あなたは…メディアにもどんどん露出していって仕事ももらっている。私もステージで歌を歌いたいんです。そのためには早乙女学園の卒業オーディションに合格してデビューするのが一番早いんです!だから…」
「…歌が好きなだけじゃあ、やっていけないんだにゃあ」

ギイッとやたら大きく椅子が鳴って、ぐるんと兄がこちらを向いた。ニコリとは笑っているが冷えた笑みだ。兄は、HAYATOとして芸能界で活動するようになってからこういった顔をするようになった。私はそれが苦手だった。

「おいで?話をしよう」

すたすたと兄はベッドに座り、ぽんぽんと隣に腰掛けるように指示をする。

「説得したって無駄ですよ。書類はすべてもう送りましたし、デモも送りました」
「僕に何の相談もなしに?いつからトキヤはそんな悪い子になっちゃったの?」
「双子だからすべてを話すってこともないでしょう…、!?」

私がそう呟いて、隣に座るや否や兄は私の腕を引き込み、そのままベッドに押し倒した。同じ顔なのにどうしてこんなにも雰囲気が違うのだろうか。逆光に照らされる彼を見て思った。

「何するんです。まったく悪ふざけは…」
「君は何もわかっていない。どうして僕に黙ってデモなんて送ってしまったの?早乙女が君の歌唱力を無視するわけがない。送るって知ってたら力づくでも止めたのに…!」

いつになく真剣な様子の兄に戸惑いが隠せない。冷や汗を流してしまいそうな彼の頬にそっと触れ、こめかみをなぞる。すると手を奪われ、そのまま手首に口づけられた。どくりどくりとそこが脈打つ。

「トキヤには向いていないよ、あんなところ。君が思っているような世界じゃない。ずっとずっと汚れているよ」
「歌が歌えるなら、どんな苦しみだって耐えてみせます!いつか、あなたと歌えたらって…」
「…っははは!トキヤぁ…駄目だよ。そういうタイプが一番危ないんだよ?」
「んん…!?」

ぶちゅっと音がたちそうな程に唇を押し付けられた。そのままぬるぬると尖った舌先が咥内を押しのける。

「んんっ…!んっふ…」
「はっトキヤ……ッ」
「んっ…苦し…っ」
「―…っん、ちゅっ…」

大きくリップノイズをたてて、唇は離れた。私の頬はたちまち燃えるように紅潮していく。兄はくっと口端をあげた。知らない顔をしていた。なんだか少し怖くなった。

「ひっ…!?」

する、と臀部を撫でられ声をあげてしまう。そしておもむろにベルトのバックルを外されてしまった。何がなんだかわからない。抵抗しようとも、薄いシャツ越しにくりっと胸の飾りを捻られ、体を震わすばかりであった。

「何するんですか!?悪ふざけはいい加減にっ…」
「洗礼だよ。わけのわからない大人たちに汚されるぐらいなら、僕が一番にトキヤを汚す」
「意味がわかりま…っうぁ…」
「ここまでやって意味がわからない?そりゃないよトキヤ…」

スウェットも下着も脱がされ、簡単にそこが晒されてしまった。羞恥に体が燃えそうだ。驚くべきことに彼はそのままぱくりと、まだ十分な硬度を持たない自身を咥えてしまった。

「ひぁ…!?いや、嫌です!そんなところ…」
「ん………」
「うっうう〜…」
「ふふ、高い声…舐められるの好きなんだね」

下腹部からじわりととろけるような快感が襲う。恥ずかしいのに、こんなことしてはいけないのに、もっともっとしてほしいと腰がねだってしまいそうで恐ろしい。
嫌悪に顔を歪め、拒絶しなくてはいけないのに私は小さく声を零すばかりだ。

「んっんっ…ふ、はあ…」
「あっああ…嫌です、もう…っ」

れろんと舐めあげられ、びくびく打ち震える。限界が近い。兄は知ってか知らずか一定のリズムで舐め続ける。

「いきそう?」
「わかりませ…っでも、何か出そう…」
「早いなあ〜…もっと堪え性あると張り合いあるんだけどね」
「あっ近くてしゃべらないで…」
「はは、ごめんごめん…ん…」
「あっあっ、嫌ですっ…あっああ…」

射精を促されるようにちゅう、と吸われ私は吐精してしまった。口元をぼたぼたと汚す兄の姿を見るとちくりと胸が痛む。枕元にあるティッシュで彼はテキパキと拭いていた。

「どうして、こういうこと…あんなところ舐めるだなんて気が知れません…!」
「でも気持ちよかったよね?トキヤのここ」
「んぅ!」

射精したばかりのそこをぐりっと指先で押され、また声が出てしまう。兄は笑ったままだ。

「気持ちいいことばかりじゃないよお、トキヤ」
「な…何…」
「ここ、借りるね」
「…!」

パンツから出された彼のものはすでに勃ちあがっていた。あの状況で興奮できたのだろうかと、疑問が残るぐらいだ。そのままピトリと臀部にそれを宛がう。その感触にぞくりとした。

「な、何、するんですか」
「これをー…君のーここにー…いれるんだにゃ」
「正気ですか!?」
「気が違っているとしか思えないよね」

ニコリと兄が笑う。わけがわからなかった。

「でもねえ…これしないと、お仕事もらえないんだ。歌だって歌えない」
「は?」

まさかそれは、と思った瞬間、口づけされた。柔らかい。

「怖い?」
「……っ」
「怖いでしょう、だって僕も怖かった。でも歌を歌いたかったから僕はお仕事だって割り切ることにしたんだ」
「あなたはもしかして、今までこういうことをスポンサーとして仕事を…」
「…じゃないとずーっとお笑いアイドルなんだもん。僕は歌をやりたくてここにきたのに」
「…うっ」

ぬるんと彼の先走りに濡れたそれが太股を擦る。こんな行為を知らない大人たちと…!

「軽蔑しますよ…あなたには…」
「トキヤはそう言うと思った。でも仕方ないの。世の中ってこうやって回っているの。寝たらそれだけ仕事がもらえるんだよ。ギブアンドテイクってやつ」

私が暴言を吐いても兄は怒ることもない、悲しむこともない。飄々としていた。そんな姿の彼を見て胸が痛んだ。

「だから君には向いてないって言ったのに」

ぎらりと兄が私を視線で貫く。いつから一体こんな目をするようになったのだろう。もう何も言えない。私の知っている兄ではない。

「このまま私を抱くんですか…」
「君が早乙女学園に行くのなら」
「それは…」
「うん、まあ遅いんだけどね。デモ送っちゃったし。わざと卒業オーディション落ちてもらうしか…」
「そんなのはなりません!」
「じゃあ無理だ。だからせめて僕が君を抱く」

兄が手をのばし、引出しからボトルを取り出した。どろりとしたそれをすくい、そのまま私の中に指先をー…!

***


早乙女学園に入学し、三か月以上がたった。
私はあの日の出来事を今でも思い出す。初めて兄に抱かれた日だ。
双子であんなことするなんて正気の沙汰ではない。それでも拒めなかったのは兄の真摯な瞳もある。
だが本当は私はもっと計算していたのだ。このまま知らない誰かに抱かれるぐらいならば、兄に抱かれたほうがマシだと。

開発してあげるよ、と兄は私に関係を迫った。一回では終わらなかった。
快楽に身が開いていく。ただでさえ近かった距離が繋がることによってひとつになるような気がした。双子とは本当に不思議だ。
でも私は音也と出会ってしまった!


「え?夏休み、実家に帰らないの?」
「ええ…」

ふうん、と風呂あがりの音也がゴキュゴキュと目の前で野菜ジュースを飲み干す。
上下する喉、髪の毛から滴る水、健康的な肌、すべてがよがりたくなるほど魅惑的だ。

「音也は?」
「うーん施設には顔出すけど何日も泊まらないよ。基本的には寮にいる」
「そうですか…」
「でもトキヤは実家でしょ?HAYATOに会いたくならない?」

音也からその名前がでて、びくりとしてしまう。私は動揺を悟られぬよう口を開いた。

「…兄とは、あまり顔をあわせたくないんです」
「そう?双子なのに」

音也に惹かれる度に彼に会いたくないという気持ちが膨らんでいく。彼にあったら体を重ねてしまうようになる。それは音也への罪悪感へと繋がった。。

「俺兄弟いないから双子とか本当に憧れるのになあ」

ピッ。
テレビの前のみんな〜!HAYATOだよー!

「!」
「あっ噂をすれば」

がしゃん、と音也が乱暴にリモコンを置いた。はは、相変わらず元気だねえと頭をカシカシタオルでふいている。
テレビの中の兄は元気だ。でも本当は歌うために彼は夜な夜な…。

「ねえ、トキヤ」
「…っ音也!?」

テレビに夢中になって気づかなかったがいつのまにか音也に後ろから抱き締められていた。彼は今、半裸だ。生暖かい体温がシャツ越しに浸透してくる。シャンプーの甘い匂いがした。心臓がばくばくだ。

「じゃあ夏休み二人きりだね…?」
「おっ同じ部屋なんだから当たり前でしょう!?それにいつもと同じです…」
「そうかな?だってみんな家に帰っちゃうんだよ?授業もないし…」
「…っ」

音也の甘く低い声が鼓膜に響く。囁くように言われたらぞくぞくする。

「ねぇ…だめ?俺もうそろそろ我慢できないよ…トキヤを感じたい…っ」
「音也…っ」

それではご当地グルメHAYATOがいってみたいと思いまーす!

「…っ!」

兄の声が突如響く。テレビに視線を流すと、彼は犬にべろべろと舐められていた。

「あっごめん…テレビ消す?気になるよね…」
「いえ…このままでいいですよ…」
「え?」

私は何か糸が切れたようにスタスタと音也の手をとり、ベッドに座らせた。
呆けている音也を放って、スウェットの上から自身を撫でると大袈裟なほどに体を震わす。
そのままばくりと音也の唇を噛みつくように奪った。

「えっ!?トキヤどうしたの!?」
「我慢しているのはあなただけではないんですよ」

う〜ん。ここの家のワンちゃんは元気いっぱいで嬉しいにゃあ!あっここはうれしいワン!って言ったほうがいいかにゃあ?

テレビの兄はよく喋る。
私は兄の声を背景に音也に迫った。

「な、なんか慣れてない?トキヤ…」
「あなたと違って完璧主義なのです」
「こういうのに完璧とかあるの!?気持ちでしょ!」
「んっ」

兄よりも不器用で乱暴な口づけだ。それでも心は満たされる。

「……っ」
「もおー。さっきまで強気な顔してたのに今度は泣きそうな顔?どうしたのトキヤ」
「すみません…」
「…無理しないでよ、どんなトキヤも好きだからさ」

今度は額に口付けられる。音也の触れ方も優しい。けれど兄の触れ方もひどくやさしかったのだとわかった。
テレビの中の彼は笑っている。彼の痛みを知っているのは自分だけなのかと思うと、ぐにゃりとテレビの画面は歪んだ。

「泣かないでよトキヤ!怖いかもしれないけど、俺頑張るし!」
「…怖くなんてないですよ」

大切なことはすべて兄から教わりましたから。
とは言わなかった。

「うん…ありがと、トキヤ…」

音也にきつく抱き締められる。とくんとくんと温かな鼓動だ。

以上!HAYATOのレポートでしたぁ〜!

兄の声はそれを最後に途絶え、私は音也とベッドに沈んだ。