★1/13の未来+真改感想(サンプル)
P28 / ¥100 / A5 / オンデマ / 2016.08発行
他キャラルート派生の転生のようなただの学パロのような沖田×千鶴。
及び薄桜鬼 真改の感想。
小説と感想他が半々くらいです。
感想はネタバレに配慮していません。沖田ルート+サブキャラ&新キャラルートの感想です。
※文字サンプルは一部改変したり、ウェブでも読みやすいように改行を増やしています※
★画像サンプルはお手数ですがこちら(Pixiv)をご覧ください。
※頒布終了したものは公開終了しています。
全てのことに意味があるのなら、きっと、この運命にも意味があるのだろう。
近藤さんが捕まったことにも、新選組が北へ進んでいくことにも。
だけど、僕は納得ができない。
近藤さんが全てだから。
他に生きる意味なんてないから。
「――…………沖田さん…………っ……」
鈴の音のような、彼女の声がどこか遠くから聴こえた気がした。
君は、僕のこと、どう思ったかな。
意地悪ばかりしていたから、あまり好かれていないかもしれないけれど。
最後に助けてあげたんだから、誉めてくれるよね。
ちゃんと逃げて、生きていてほしいな。
僕のこと、僅かでもいいから覚えていてほしい。忘れないでほしい。
千鶴ちゃん。
最期の最期で、どうしてあの子のことを考えてしまうんだろう。
僕が変若水に手を出さなかった理由。
彼”が変若水を飲んだ理由。
今なら少しわかるよ。
「君が、傍にいてくれたら…………僕も」
余計な考えを振り払うように、かぶりを振った。
僕にあるのは、近藤さんだけ。
近藤さんのことだけ考えていればいい。
他には何もいらない。望まないから。だから、だから、どうか………………――
「――――先輩っ……沖田先輩っ!」
真っ暗闇に光を射すようなその声に、重たい瞼を開ける。
身体が重くて動かない。霞む視界にぼんやりと映り込むのは、泣きそうな君の顔だった。
「あ、れ……君、どうして戻ってきたの……?」
せっかく逃がしたのに。
もう助けてあげることはできないよ。
この手からは既に刀は抜け落ちている。このまま死を待つだけなんて、君って残酷なことをするよね。
「? 沖田先輩、何を言ってるんですか? もしかして寝ぼけてますか?」
僕が君の馬鹿さ加減に失望しているっていうのに、緊張感のないトボけた声を出さないでもらいたい。こっちには小言をいう体力だって残っていないのだから。
大体寝ぼけているってのは君みたいな人間のことを言うんだ……………………あれ?
不意に異質感に包まれて、瞬きをした。
僕を覗き込んでくる千鶴ちゃんは浅葱色の――制服を着ている。規則正しい模様の天井に、クリーム色のカーテン。真っ白なベッド。消毒液か何かの独特な匂い。
「…………ここ、学校?」
そう意識した途端に身体が動くようになって、むくりと起き上がった。
「保健室です。酷く魘されていたので、起こしてしまいました……」
心配そうな顔を浮かべて、そっと近くに寄り添ってくれる。
そして、彼女に言われたことで現実に引き戻された。
「そ、っか……サボりにきてたんだっけ」
ちょっと身体がダルかったから、授業も出ずに一眠りしに来ていたことを思い出す。
けれどその回答に、千鶴ちゃんが不服そうに頬を膨らませた。
「サボりじゃありません。熱があるんですよ?」
頬をぷっくりと膨らまして、いま体温計を持ってきますからと言って、僕に背中を向ける。
途端に嫌な気持ちが膨れ上がって、思わず彼女の手を掴んで引き止めた。
「お、沖田先輩……?」
上擦った声。一瞬で赤くなる耳元。振り払われない手。
「熱のせいかな、変な夢を見て……」
軽く手を引くと、抗うことなく彼女の膝がベッドに触れた。
俯きながら握力を籠める。こうすることで、彼女の心配をより深めることができるって知っているから。
「怖い夢ですか?」
案の定、気遣わしげに顔を覗き込まれた。
「よく覚えてないけど……――」
嫌になるくらいリアルで、グチャグチャとした夢だった気がする。
こんな感じの話です(´∀`*)
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