あとがき

 設定を改ざんし、主要人物は二人以外無し、ヒロインの性格や出自も特殊という癖の強い作品でしたが、いかがでしたでしょうか。これにて「月は小鳥の夢を見る」、閉幕です。
 青き星に帰還した兄さんはどこに降り立ち、どう過ごしてアガルトのリディアたちの元へ辿り着いたのか。それがこのお話を考えるきっかけでした。
 月に留まり生き長らえたのは、贖罪のためだけでなく、何か胸の底に本人も知らない願いがあったからでは…という妄想が膨らみに膨らんで、なら書こうじゃねーのとここまで来ました。前作(「毒虫と侍女」)は4の時間軸で表現したかった全てであり、対してこちらは4TAで表現したかった全てです。
 実際何も始まっていないところで終わりましたが、予定通りの結末です。この先は、例え必要パーティが揃っていないとしても、兄さんが命を落とすことはないんだろうな…ぐらいしか考えていないです。そういう兄さんになってもらうことが、私の常日頃からの願いなので。
 ここまでお付き合い下さいまして、本当にありがとうございました!それはゆっくりとした歩みでしたが、最後まで書き上げることが出来ました!

2016/7/18 キヤマ



◆人物紹介(あとがきバージョン)
セオドール:
某所で言われた「見かけによらずとっても優しいお兄ちゃん」+ゲーム中で芽生えた他人への情=このお話の兄さんです。持たせた役目及び筆者としての願いは、「己の価値を認めること」。
幼少時代の描写から、今でも根っこは気丈ではないのかなと思う節があるので、やはりここぞでは支えてもらう側になりました。
これからもヒロインに対して甘々であり、保護者であり、師匠であり、深いところでは頭が上がらないのでしょう。

ヒロイン:
"セオドール"が本来の人生で行うはずだったこと。すなわち弟の養育、家族との団らん、特別な人と出会い、愛し合う…等々それら全てを受け止める存在として作りました。
また"ゴルベーザ"と一切関わりの無い人物であることが一番重要であるため、時を歪めて何十年も孤独に生き続けたという無茶な設定がついております…。
純真な子ども、恋する乙女、相手を赦し包み込む聖女と、成長するにつれ多くの要素が加わっていく非常に私の趣味が反映されたキャラとなりました。
デフォルト名の由来はそのまま天使。タイトルでは小鳥扱いですけど。

ヒロインの父:
故人。月の民。
友人のクルーヤと共に青き星に降り立ち、書物を収集する旅の中で妻(ヒロインの母)に出会います。しかし、村中から猛反対を受け、青き星の民に不信を募らせながら孤島へ逃げ込みました。
やがて娘を授かるものの、その後妻が病死してしまい、最愛の彼女を生き返らせようと心を狂わせていきます。
娘を置いて何度か外へ出ていましたが、志半ばで事故死。その無念から亡霊に成り果て、孤島の結界と一体化し、娘を永きに渡って捕らえ続けました。
最期はセオドールの手によって倒され、消滅。

ヒロインの母:
故人。青き星の民。
ミストの村の才ある召喚士でしたが、旅人として訪れた夫と惹かれ合い、駆け落ちを選びました。
村の慣習に違わず虚弱な体質であり、娘が幼い頃にこの世を去ります。
娘には普通の生活を送ってほしかったようで、魔法や故郷についてほとんど話していませんでした。

クルーヤ:
故人。月の民で、セオドールの父。
友人夫婦のため、それまで拠点として使っていた孤島を譲り、自身は放浪を続けながら度々訪れました。
家族を一切島の外に出さないヒロインの父を説得していましたがついに聞き入れられず、ヒロインの母の死をきっかけに張られた結界によって、完全に袂を分かつことになります。
その後結婚して二児をもうけますが、かつての教え子に刃を向けられ帰らぬ人となりました。






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