お揃い





 
お前はストイックだな、

それは、中学の時からずっと言われてきた。

まぁ、朝から晩までバスケ漬けだったし、家に帰ると必ずと言っていいほど、危うくシャワーを浴びるのを忘れて眠りそうになって、母さんにも姉貴にも舞にも怒られた。
女系家族はこういう時煩い。

その女系家族のおかげで、女性にもいくらか耐性が付いていて、女性に期待とか理想とか、そういうものもなかった。つまり、そういう雑誌を見る機会はいらなかったし、家でなんて死亡フラグ以外の何物でもない。

姉貴は淡白だけど母さんも舞もどちらかというと俺にべったりだし。

でも、好きな人なら話は別。

手も繋ぎたいし、キスだってしたい。
それに。

どうしてだろう?
自分がいつも言われてきたことなのに。

ストイックすぎる恋人を持つと苦労する。





「笠松さん」

笠松さん、ともう一度呼べば、先輩は流れる汗を拭いながら、俺を見た。

「あ?」

たまの休みのデート。今日もよく晴れていて、1on1に一段落つけて仰向けに横になれば、空はどこまでも青い。

俺も先輩もどちらかというとストイックで、それに潤いを求めること自体間違いだったのかもしれない、と言った後で気づいた。
プラトニックラブなんだ、多分。
そう割り切ってしまうと、いくらか我慢できた。
だけどもう、限界。

「笠松さん」

もう一度呼んでみると、怪訝そうな顔を隠しもしない。

あたりまえか。

「笠松さん、キス、しませんか」

空を見上げたまま言った。

なんか、空を見上げていると、海常の青いユニフォームを思い出した。
空に恋をした、海の色。
なんて、ちょっとクサい。いや、相当
その中にぼんやり、白く浮かぶ月。

「笠松さん」

あまりに反応が返ってこない。その状況が掴めなくて、今更ながら顔が熱くなった。


ヤバい、間違えた。

次に感じるのは胸を焼く不安。
キスしませんかなんて言うんじゃなかった。

嫌だ、熱い。―苦しい。

耐えきれなくなって瞳を腕で覆うと、青い笠松さんの色が消えた。

そして、

微かに触れた、唇の感触。

ゆっくりと腕を下ろすと、真っ赤になった笠松さんが笑っていた。

顔がもっと熱くなった。
だけど胸は苦しくない。
どきどき心臓は痛いけど、心地いい。



染まれ、染まれ。
空よ染まれ。
海が空に恋したんじゃなくて、
海に恋した空が染めたんだ。

もう一度触れた唇に、
お揃いの赤い頬に。

同じ赤い色。





あとがき

読んでいただきありがとうございます!
笠松先輩好きです!
いえ、笠月は本誌で絡む前から愛でておりました(´ω`*)
最近は森月も美味しいですねw
それにしても頭痛の中で書いたから駄文にも程が…






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