憎いかもしれない









昔から一緒だった。

俺たちの関係は端から見ると親友で幼なじみ。
俺たちの中でもそうだった。

その関係が変わり始めたのはいつのことだろう?

中学を卒業する頃には、
きっともう好きだった。

3年の夏。俺たちの中学時代の夏の終わり。

負けて、そこに佇む日向の背中が、遠くて、切なくて。
日向の努力を知っているだけに、その背中を見ていることしかできなかった。
不思議と、涙は出なかったし、特に悔しくなんかない。
あいつの悔しさに比べたら、全然。

日向が第一志望に選んだそこは、そこそこの学力で俺は余裕。日向は…合格点より少し高い位?
でも、バスケ部が、ない。

ああ、日向とバスケできないんだってそう思った。

俺たちの中学を捧げたバスケを、日向は捨てるんだ。

今更だけど、負けたのが悔しくなった。

もっと日向とバスケがしたかった。
もっと日向と、大好きなことで大好きな人と笑っていたかった。
色んな気持ちになりたかった。


だから、ありがとう。木吉。
バスケを好きでいてくれて。
バスケ部を作ってくれて。
日向を誘ってくれて。
俺も誘ってくれて。

でもごめん、
今はちょっと、
お前が憎いかもしれない。


俺は日向が好きだから。

俺には日向を取り戻すことができなかったから。





あとがき








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