おかしくなる




「暑いー」
「蝉うるせえよ……」

梅雨も明けて夏真っ盛り。

さんさんと照りつける太陽は、露出した身体を容赦なく焼く。
朝も暑かったけど(出会いざまに「太陽さんさんおはようさん」とか言った伊月は容赦なくど突いた)、午前練の後の部活帰りはそれに拍車がかかってさらに暑い。

「ひゅうがー」
「あー?」
「暑いー寧ろ熱いー」

俺の袖をちょいちょいと引っ張る伊月を振り返れば、伊月の目線は完全に今通り過ぎたコンビニで、
まぁ、家に帰っても部屋の中は蒸しかえってるだろうし、

一瞬で思考が回って、伊月がいいたいことを悟る。

「…アイスでも買っていくか」
「やたー♪」

へばったローテンションで喜ぶ伊月の瞳は、それでも子供みたいにきらきら輝いていた。

「すーずし〜い♪」
「あ゛ー…生き返る…」

コンビニに入るとそこはまさに天国。

しばらく伊月と2人、その涼を堪能してから、アイスのケースに向かう。

俺はとりあえずあっさりしたもの。ってことでガ○ガリくんを選んだ。その横で、伊月がバニラバーにするかチョコバーにするかで迷っていた。何度もその2本を出したり入れたりをくりかえした。

「伊月ー早くしろー」
「待って待って」

「いーづーきー」
「判った!バニラにする!」

俺の分と、伊月の分。
2つを持ってレジへと向かう。












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