rainy days






雨の日には人恋しくなる。



しとしとと雨が降る。TVを点けていてもその音は耳につく。
仕事でいない彼の帰りを今か今かと待ちわびる。
殆ど点けているだけのTVから笑い声がこぼれるが、その音は彼女しかいない部屋に空しく響いた。

(…まだかなぁ)

もうすぐ日付が変わる。

ベッドに上半身を投げ出すように時計を見上げ、深い溜息を吐いた。

1人だけの時間。
寂しい彼の部屋。

顔の上に乗せたクッションが滑り落ちた。

「―っ!」

小さな音。

さつきがその音を聞き違える筈がない。


「おかえりっ」


すぐさま起きあがり、ぺたぺたと裸足のまま玄関へと走る。
少し上擦った声を気にすることなく、玄関に通じる扉を開けると、大我は驚いたように目を見張った。


「起きてたのか」


靴を脱ぎ捨てる大我に近づいていって、首筋にまとわりつく。


「おい、靴脱げねぇよ」


乱暴に言った割にいっぱい想いを詰め込んだ優しい声を発する大我の唇にキスを落とし、負けず劣らずの横暴さで言い放つ。


「駄目。ちゃんとただいまって言って」


目を合わせて拗ねてみせると、大我は優しく目を細めてただいまと言った。





シャワーの後、ベッドに潜り込んで大我に抱きついた。

緩く抱き込まれた頭を押し付けるように顔を埋めると、小さく笑い声が降ってきた。
軽く弾んだ笑い声は、いつもみたいに甘い空気を纏ってさつきを包み込んで暖かい。


「何かあったか?」

「…別に、何となく」


なんだよ、と微笑む大我の大きな手のひらがさつきの髪を混ぜる。

大きくて、優しくて、暖かくて。
大我は彼女を照らしてくれる。
太陽みたい。


降っていた雨の水音はもう聞こえない。


「大我くん」

「ん?」


なんとなく、もう少し素直になってみようかと思った。


「大我くん、」

「なんだ?」


律儀に続く言葉を待っている大我。

さつきは背中を反って、大我の唇に自分の唇を重ねた。



「ずっとそばにいてね」




(…お前が素直になるんなら、偶には雨もいいな)

(…ばーか)

(知ってるか?馬鹿っていう方が馬鹿なんだぜ?)







あとがき

お読みいただき
ありがとうございますm(_ _)m
どうも、
福耶の本分、NLですねww
夢を書かせていただいている時はこんな感じで書いておりました。
安定の甘さで少し困っています





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