熱中症







「おー」
「風流っスね〜」

笠松先輩と二人で歩くいつもの帰り道。
だけど今日はちょっと違っていた。

「あの麓は風流どころじゃないだろうがな」

遠くに見える花火の下は明るく照らされていた。
そういえば今日は花火大会の日だった。
俺たち二人とも、バスケに夢中で忘れていた。

笠松先輩と二人、立ち止まって空を見上げる。
おー、と感心しているように半開きの口はなんとなく間抜け。だけどこういうことに対して真摯に感心できる先輩が大好きだ。

なんとなく疼いて、

「センパイ」

なんとなく、仕事で聞いたメイクさんの話を思い出した。

「なんだよ」

と、そう言った先輩の口調は少し弾んでいて、今日は機嫌がいいらしい。

「熱中症って超ゆっくり言ってくれません?」
「はぁ?なんだよそれ」
「言葉遊びっスよ」
「……しゃあねえな…」

顔をしかめて訝しそうな顔をした先輩は、
だけど、言ってくれるらしい。

うん、やっぱり今日はちょっと機嫌がいい。

「…ねぇちゅーしよ……」

その言葉を聞き遂げて、不意打ちで先輩にキスをする。
一瞬触れただけの軽いキスだけど、先輩のほっぺは耳まで赤くなった。

「な、なななな…なにをっ!?」

「センパイが強請ったんスよ」

軽くウィンクして言ったら、今度はちょっと間を置いてまた赤くなった。

「…っこの、馬鹿!!!」

先輩の綺麗な回し蹴りをひょいっと避けると先輩はちょっと驚いたみたいだった。

「黄瀬…」

「あとでいくらでも受けるんで、取り敢えずもう一回キスしたいっス」

雲行きを察して素直に申告すると、先輩は少し不服そうに、
でも、引き寄せても拒んだりはせずに。

俺たちはキスをした。





あとがき



はい、最後!
熱中症を超ゆっくり言ったら
「ねぇ、ちゅうしよう?」になるっていうネタでしたww
うちのサイトは日月だけど
やっぱりここは黄笠かなとw
あといっちゃんにツンデレって欲しかったのでラストは黄笠になりましたw

付き合ってくださった方々、ありがとうございましたm(_ _)m








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