ずっと







不意に視界が大きく揺れた。


次の瞬間、体には大きな衝撃。
揺れたのは視界だけじゃなく、身体も、
そして脳も。
少し目が回った。

なんとか持ち直して目を開けると、綺麗な金髪と見慣れた顔が見えた。
いつまでたっても慣れないのはその見慣れた顔の表情で、

ああほらやっぱり。

顔が熱い。


*


久しぶりの週末デート。

多忙な俺と、もうすぐ卒業の先輩と。2人が週末に休みが重なることはほとんどない。

だから今日は特別。

たくさんの親子連れや恋人たちのなか、今日だけは少しだけ大胆に。でもそれなりに距離を置いて。
たまに当たる手のひらから愛しさが伝わる。



少し疲れて家に帰って、上着を脱ぐ先輩を見ていたらなんだか、言いようのない感覚に襲われて。
そうしたら、身体が勝手に動いて、
先輩の身体を巻き込んで、ベッドにダイブしていた。

思ったよりも身体が揺れた。
脳も。

先輩は少し時間を置いたあと怪訝な顔をしながら俺を見上げた。
そうしたら、今度は頬がみるみる赤くなっていって、
可愛いなぁって思うと同時に、不思議だった。

俺、なにかしたっけ?


「…なんだ?」

赤くなった頬を隠すように両頬に手を当てながら、
先輩は訊いた。

「んー…強いて言うなら、寂しくなった、っス」

笑いながら言ったつもりだけど、笑えていただろうか。

「………なんで?」

不思議そうに、腕の中で先輩が身じろいだ。

「今、先輩といるこの時間が終わっちゃうんだなーって」

うん、上手く言えないけどきっと、この気持ちを言葉にするのならそんなところ。
今日はなんて時間がすぎるのが早いんだろう。

「馬鹿だな、おまえ。これからいくらでも一緒にいられるじゃねえか」

「……ずっと?」

毅然と言い放った先輩は凛として格好良くて、
「当たり前だろ」

「……そうっスね」

俺なんかより、
先輩はずっと格好良くて。

「ずっと一緒にいよう」


永遠に共にいられる。
そんな気がしたんだ。



あとがき


かっこいい笠松先輩(^q^)
おいしいですw






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