金色







※過去話



「え…?」

委員長から告げられた言葉に、俺は惚けた声を返していた。



考えてみれば当たり前だ。
どこの高等教育が金髪を許すというんだ。
それを許すのは精々ファッション系の高校位だろう。

風紀委員の委員長に呼び出された俺は、幼なじみに伝えてくれと、告げられた。

日向に、髪を戻せ。と。

正直気乗りはしない。
日向が馬鹿なことしてるとは思ってるけど、その苦しみを知ってる俺としては。


でも、伝えなきゃいけないんだろうなぁ…


風紀委員だし。


「日向、」

教室に戻れば、一緒に帰ろうと待つ、日向がいる。

「おう、伊月」

帰るか、と、日向は笑う。
オレンジ色の光を背中に受けて、日向の髪がキラキラ光る。

日向のその髪に、そっと手をのばす。
怪訝そうな顔をしながら、日向は俺の手を許容した。

なんだかんだで、この髪も俺は好きなんだ。

軽く混ぜると相変わらずの堅い日向の髪。

「伊月、」

名前を呼ばれて顔をあげると、日向はまっすぐに俺を見ていた。

頭を撫でていた手を引かれ、少しずつ、顔が近くなる。

誰かに見つかったらどうするんだ、この馬鹿。
そもそも俺風紀だし。

止めないといけないことも、戒めないといけないことも、分かってはいるのに声がでない。

やがて、唇が重なって、ああ、もう、なんて状況に流される。
触れるだけのキスで唇を離すと、日向と目が合って、今度は深い、奪うようなキス。
噛みつくみたいなキスにすがりつくのに必死になって、声を抑えるまで気が回らない。

「ふ…ぅ、ん、ん…っ」

たまにあたる眼鏡が冷たくて、薄く目を開けると、涙で滲んだ視界に目が覚めるように日を受けた日向の金髪が広がる。

中学の時よりも重たくなったその金色に指を差し入れて、
背中を抱く金色を抱きしめながら、日向のキスに答える。

深く深く求め合った唇を離して、お互いに短い余韻に浸る。

「伊月」

先に口を開いたのは日向だった。

「帰るか」

俺は、バスケをする日向が好きだった。
でも、だからバスケを嫌いになりかけたこともある。

バスケをする日向の黒髪も、
バスケを諦めきれない金髪も、

やっぱり俺はどっちも好きだ。


「…ああ」



(そういやお前、何の呼び出しだったんだ?)
(ああ、日向、髪戻せって。風紀委員長からのお達し)
(…え゛……)

大丈夫、黒髪のお前も好きだから。





あとがき


読んでいただきありがとうございましたっ!
Twitterでのご依頼、風紀委員な伊月、だ っ た の で す が …すいません、気力が保たず、他のキャラを絡めるところまでいけませんでしたっorz
ま、また、きて、いただけたら、幸い、です(・ω・`;)






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