はれま






「…雨」
「ん?ああ…降ってきたか」

今日は朝からおもったい曇り空で、
今か今かとまるで雨が降るのを望むかのような1日だった。
まぁ、望んでなんてないが。

「俺、雨嫌い」
「まぁ好きな奴なんてそうそういないだろうよ」
「あめんぼも雨嫌いらしいよ」
「…………ああそうかよ」

何か聞こえたが、適当に流してもう一度窓から見える空を見上げる。

「酷くなりそうだな……泊まっていくか?」
「え、いいの?」
「いいよ。寧ろ大歓迎」
「……まぁいいや」

釈然としない顔をしながらも、泊まることにしたらしい伊月は制服のポケットから携帯を取り出した。




「日向」

さっきまで泣くまで喘いでいて掠れた声が、俺を呼んだ。

「ん?」

さらさらとさわり心地のいい髪を撫でながら返事をすると、伊月はそれを避けて俺の胸元に潜り込んだ。

「どうした?」

珍しいその行動ににやけそうになる口元を隠しながら問いかけると、伊月は眠たそうな声音でもう一度言った。

「雨は、嫌いなんだ」

一度冗談のように流した言葉が、酷く頼りなく聞こえた。
伊月の胸元で寄せられた拳は細かく震える。
寒いのか、何かに脅えているのか。

俺と同じでいじっぱりな伊月だから訊いてもそれは判らないだろうけど、
なんだか凄く愛しくなって。

「大丈夫だ。ここにいる」
「………うん、…」

ぎゅっと伊月の身体を引き寄せて抱きしめると、伊月はそれに応えるみたいに俺に身体を寄せた。

少ししてから、伊月がもぞもぞと動きだしたので包容を緩めると、
伊月は少し背をそらして、俺の唇に口づけた。


日向、あったかいね


って笑うその表情も、伊月のすべてが愛しくて仕方ない。




あとがき




書いてる途中で正気に戻って
あまりの甘さに
悶絶しました(;´Д`)

よって読み返してません。

誤字脱字気になるところありましたら遠慮なくどうぞ


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