小学生
好きな人ほどいじめたいって。
小学生から進歩してないな。
俺。
「――すまん!」
正座で頭を下げる先輩。
トイレに立った後、部屋に戻った瞬間そういうことされるから面食らった。
何かと思えばノートを広げた机の下に束ねたラブレターやらファンレターの束がお茶をこぼしたらしく濡れていた。
「あー大丈夫っスよ」
濡れてるっていったって少しだ。読めないわけじゃない。
「いや…悪い…」
しゅんとして謝り続ける先輩。
怒ってないというのにその態度は、誠実というか真面目というか。
うなだれてしゅんとしている先輩を見ているとなんだか邪な気持ちが沸き上がってくる。
いや、別にサディズムな趣味はないけど。
いじめたくなるのは人間の性というかなんというか。
その誠実さを利用させてもらっても許されるだろうか。
「んー…じゃあ、キスしてくださいよ」
「はぁ?!」
「そしたら許しマス」
あ。悩んでる。
一瞬にして赤くなった先輩の頬を見て、思わず笑みがこぼれる。
目を反らして、その頬を腕で隠す先輩は最高に可愛い。
「あ。勿論こっちにっスよ」
そう言って、唇を人指し指で示し、先輩の顔をのぞき込むと先輩の頬は赤みを増して耳まで染まった。
「ば…っ」
「先輩早く」
目を閉じて身を乗り出すと、見えないながらに逡巡する気配が伝わってきた。
「セ〜ンパイ」
「〜〜〜〜ッッ」
もう一度呼んで促すと、肩に先輩の手が乗った重みを感じた。
先輩の気配が近づいて来る。
やがて、そっと唇が重なった。
薄く目を開けてみると、いっぱいいっぱいになりながら唇を寄せる先輩の顔が間近に見えた。
ああ、もう。
「センパイ」
「…んだよ」
「好きっス」
「………知ってるよ」
だからいじめたくなるんスけどね。
あとがき
初の黄笠いかがでしたでしょうかw
私個人的にはすっごい楽しかったですww
我が家の黄瀬くんはSも持ち合わせているようですwww
あ、唇に人指し指に関しては私の妄想爆発中です。(≧∇≦)