samurai7 | ナノ
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マサムネ宅に着いた一行は、暫しの休息をとり
サムライを探しに、再びそれぞれ虹雅峡の町に出た。


「ユメカ、やめておけ。怪我をするぞ」


ユメカの頭上からゴロベエの声が掛かった。


「……だってー」
「おなごは無理しない方がいいだ」


続いてまた頭上からリキチの声がかかった。
ユメカはその言葉を聞いて深い溜息を吐き、
壁を張り巡らす太いパイプに引っ掛けていた脚を下ろすと頭上を見上げた。
何メートルも先のパイプにリキチは腰を下ろし、
ゴロベエは細い棒の上に微動だにせず立っている。
手には双眼鏡を構え、先を見据えていた。


「ゴロさーん!私も見たい」
「此方まで来れなければ無理だぞ」
「……。けちー!」
「けちとは」


ゴロベエは微笑して下を向く。


「何故そんなに見たいのだ?御殿が珍しいのか」


今ゴロベエが見ているのは、最上層に位置するアヤマロの御殿。
マサムネがマロとひと悶着起こすことになりそうだと言ったため、
ゴロベエは探りを入れに来たのだ。


ユメカが一部の記憶を失い、遠い地から来たらしいということは、
ユメカが装飾店で働いていて一緒に居ない間、キララが話してくれていたらしく
御殿を珍しがっていると感じたようだ。


「……ーーっ」
「?」


ユメカは御殿が見たいわけじゃない。
目的は……キュウゾウだった。


彼がアヤマロ御殿から出てくる姿をこの目で見ようと思ったのだが、
見ることができる位置まで行くことが出来なかった。
これまで只の女子高生だった自分の無力さを感じ、悲しくなる。
自分は高い位置に登ることすら怖いのだ……。


「ほう……」


双眼鏡で再び眺めていたゴロベエから声が漏れた。


「あの……なにか」


リキチが少々緊迫し、尋ねる。
ゴロベエは未だに前を見据えたまま答えた。


「まさしく……サムライだ」


キュウゾウのことだろうと思ったユメカは、複雑な思いでゴロベエを見上げた。

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