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「はっ……はっ……」
装飾店から出たユメカは、今頃SAMURAI7の主要人物達が集まっているであろう宿を目指して走り出していた。
早く皆に逢いたい。
そう思えば自然と足が速くなっていく。
しかし無我夢中に走っていたため、
急に斜め前の路地から出てきた人影に気付かず、そのまま勢い良くぶつかってしまった。
「ぶっ!」
衝撃の余りユメカは跳ね返り、尻餅をつく。
一方相手は、女ひとりが体当たりした程度ではびくともせず立ち尽くした。
「いってぇ……」
相手側の呟きが聞こえ、ユメカはやっと自分が人にぶつかってしまったということに気付く。
謝罪をしようと、焦って相手を見上げた。
「ああ、あのっ!ごめんなさい!ちゃんと前見てな……!」
言おうと思った言葉を全部言い終わる前に、驚いて硬直してしまった。
何故なら目の前にいたのは、ピンク色の髪と鼻に布を掛けた姿が特徴的な
SAMURAI7のキャラクター、ボウガン男だったからだ。
(うわわ!何で此処にいるの!?)
いきなり現れた意外なキャラクターにユメカは一気に混乱して目を見開いた。
固まったユメカを見下すように見ていたボウガンだったが、いきなりかがみこんで目線を合わせた。
「……へー、結構良い感じだねぇアンタ」
「……は?」
「一緒にお茶でもどう?」
「へ!?」
何でそうなるのかと混乱すれば、
今まで後方で黙っていたセンサー男が口を開いた。
「おい。今から任務だ、後にしろ」
「分かってるさ。ただこのお嬢ちゃん、凄く気に入ってね。
若の目にもかなうだろう?持ち帰ったらきっと良いことあるぜぇ」
「……ふむ、確かに」
怪しい会話の内容に、ユメカは身の危険を感じて血の気が引いた。
ここで捕まってしまえば、皆に逢えなくなってしまう。