samurai7 | ナノ
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※十八話には性的内容が含まれます。しかしこのまま進んでいただくと、描写部分を取り除いてあります。
性的なことがあった事実に変わりはありませんので、そこをご了承いただいたうえでご覧になって下さい。

描写があっても大丈夫という18歳以上の方は、こちらよりどうぞ。
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サムライと村の男衆は、第一陣の野伏せりを巨大ボーガンと火矢で迎え撃ち、カンナ橋にて敵の戦力を削った。
予想外の被害に一度退いた野伏せり達。再び態勢を立て直してきた時に確実にしとめるため、カンベエは次なる作戦へ移った。


作戦とは、浮遊要塞に潜り込み攻め入るためのもの。
カンベエ、ヘイハチ、シチロージは、農民達が野伏せりに詫びる際に捧げる米の中に身を潜め、カツシロウ、キュウゾウ、ゴロベエは農民達に捕まったものとし、捕虜として捕まる。キクチヨにいたっては首と胴が切り離せるため、首が捕虜となり体は米俵の中。
入り込む場所が分散され、村人の安全を第一にサムライ達が攻め抜ける形をとった。
しかし野伏せりが、裏切り牙を剥いた農民を許すはずがない。簡単に農民の命乞いを信じるはずがないのだ。
だがカンベエの作戦は確実だった。何故なら最後の一押しにキララに協力を仰いでいたからだ。
キララが贄になると良い、村人の命と引き換えに自分を捧げた。
村人はこの作戦を知らされていないため現実味が生まれ、野伏せりはまんまと芝居にだまされた。













「ユメカ、大丈夫か?」
「…………」


サムライ達が浮遊要塞に潜り込んだ頃。湯浴みで汚れを落としたユメカは、いつもの白と淡いピンクの着物に身を包んでいた。
戦場が離れ一時安全なため、気が動転しているユメカは事が起こった水分りの社を離れ民家にいた。
村の娘達が心配して付き添っているものの、ユメカは罪悪感に苛まれ殆ど放心状態。膝を抱え、小さくなっている。


ユメカに掛ける言葉が見当たらず、オカッパ頭の娘が申し訳ないように視線を落とした。
自分達のためにひとりが罪を背負ったのだ。励ますこともできなければ、軽はずみにありがとうとも言えない。


「…………」


ユメカが首から提げられた導きの石にぼんやりと視線を向けた。もうそこに桜を思わせる花は見えない。真っ白な只の石となってしまった。


(命を奪ったんだから、巫女でいられるわけないもんね……)


これで導く力さえも無くなってしまったのだろうか。


(だめだ……!もう迷わないって決めたんだから)


力が無くなろうと、自力で未来を変えなければ。
みんな今戦っている。それなのに自分ひとりがこんなことで落ち込んでいるようでは申し訳が立たない。


(みんなが戻って来た時には、笑顔で迎えられるようにしないと)


立てた膝に顔を埋め、自分の心を少しでも整理しようと唇を噛み締めた。
















サムライ達は浮遊要塞にて野伏せりと戦い、ヘイハチが要塞の機関部を破壊したことにより飛行していた要塞は崩れ落ちていった。
サムライ達は間一髪で活路を開き、岩棚に移動し落下を免れた。
眼下の霧の海から熱風が吹き上げ黒煙が上がる。野伏せりは全滅したか、そう誰もが思えた時、突然眼下の霧から銃撃が襲ってきた。皆が姿勢を低くする。


「やっかいだな。この霧では何処から撃ってくるのか分からん」


攻撃を仕掛けてくる程、まだ生き残りがいるのだろう。
ゴロベエの言葉にシチロージもカンベエに指示を仰いだ。


「如何いたしましょう」
「斥候を立てる」


カンベエが答えた瞬間、キクチヨが声を上げた。


「俺様に任せてくれでござる」
「お前では目立つ」


即座に却下したカンベエに、キクチヨが「そんなにはっきり言うことねぇだろー」と拗ねて返した。
斥候は身を隠し情報を収集する必要がある。キクチヨでは行動が荒っぽく、加えて図体もでかい。見るからに斥候には向かなかった。
そこに未だに戦場の気に高揚していたカツシロウが「斥候なら私が!」と刀に手を掛けながら言った。


「死ぬぞ」


静かな声音でぴしゃりと言い捨てたのは、カンベエでは無くキュウゾウだった。
しかしそこにカツシロウを小馬鹿にした雰囲気はない。カツシロウは無言の圧力を感じ、息を呑み込んだ。
キュウゾウが立ち上がる。カンベエも異論は無い。キュウゾウが眼下に飛び降りようとした瞬間、キララが搾り出すようにキュウゾウの名を呼んだ。


「キュウゾウ様…!どうか、どうかお早くお戻り下さい…!ユメカさんが…!」


キュウゾウがキララを見やり、一瞬眉をひそめた。
しかし無言のまま視線を眼前に戻し、霧の海へと銃撃を避けながら素早い身のこなしで降りていった。
キララのあまりに必死な様子に、ヘイハチが緊迫して問いかけた。


「ユメカがどうしたんです」
「……皆様が野伏せりと戦っている間、社に一体の野伏せりが現れたんです。
それをユメカさんが包丁を手にして……」
「まさか、怪我を…!?」
「いえ、怪我はありません。ただ……自らの手で殺めたことに、精神的に参っています」


その言葉に皆が驚いた。戦い方も知らない只の少女であるユメカが、野伏せりを一体殺めたというのか。
それならば、背負う罪の重さに今頃押しつぶされてしまっているだろう。サムライを志していながら斬ったカツシロウでさえ、感情を制御しきれないでいるのだ。


「すみません。私が……あの時カツシロウ様が守りに付いてくださることを断らなければ、こんなことには…っ」
「お主のせいではない」


カンベエは言いきれた。何故ならあの時ユメカも何も言わなかったからだ。この未来を知っていたならば、防ごうと真っ先にサムライに助けを求めただろう。
これは読めなかった未来なのか。それとも変わってしまったものなのか。
村に一刻も早く戻る必要がある。そう思ったカンベエは立ち上がった。

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