samurai7 | ナノ
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サムライがカンナ村へ向かうということを野伏せりに知られた今、道中での待ち伏せが考えられた。
皆が村へと無事に辿り着くため、三組に別れて行動することになる。
地の利に明るい農民ひとりひとりにに案内役を任せ、守り役としてサムライが二人ずつ付くことになった。


集合場所は、村の手前にあるつばさ岩と呼ばれる巨大な岩。
先の大戦の戦火によって、大きな岩が削られ
誰が見ても鳥の翼の形をしていると思えるようになっていた。
今はカンベエによって振り分けられた組で、その地点を目指していた。


(なんで……私はここにされたんだろう)


ユメカは懸命に未だ広がる砂漠を歩いていた。
右隣には振り子を垂らしてカンナ村へ流れる地下水を探すキララ。
左隣にはシチロージ。結構な距離を開いて目の前にはキュウゾウ。


正直、嬉しい。
しかしここは一番危険な目にあう組であり、
キララがキュウゾウに不信感を抱いている問題もあって、空気がぴんと張り詰めていた。
とても楽しい道中とは言いがたい。


「キュウゾウ殿。娘さん達が一緒だ、足並みを揃えてはどうだい」


シチロージが遠く離れたキュウゾウに声を掛けた。
キュウゾウがはたと足を止める。
しかしシチロージが声を掛けたからではなく、辺りを警戒しているように見て取れた。
キララがむっとして足を速めた。


「お気遣いは無用です。足手まといにはなりません」


そのまま少しずつシチロージとユメカから距離を開いていく。
その様子にシチロージは小さくひとつ息を吐いた。


「やれやれ。こいつは骨が折れそうだ」


ユメカだけがその声を拾い、小さく笑った。
気付いたシチロージが視線を向ける。


「おや、変なこと言いやしたかね」
「ううん、さすがカンベエの古女房だと思って」
「……あの人もお人が悪い。
アタシを此処に置いたのはお考えがあってのことさ」
「だろうね。でも、私も一緒なのはなんでかな……」


自分が一緒だとせっかく丸く収まる未来が変わるかもしれない。
それがユメカにとって一番の不安だった。
シチロージは当にカンベエの考えが分かっているようだが、そ知らぬ顔で笑んだ。


「さて、どうだか」


ユメカはうーんと首を捻り、俯いた。
肌寒い空気から身を守るためにと、シチロージに渡された布を首に巻いているため、すっぽりと口元が覆い隠れる。


「そんなに難しく考えず。
ユメカはユメカらしく自然としていりゃいいんでげすよ」
「そうかなぁ」
「ええ、旅は徒然。なるようにしかならんさぁね。
うまくいかないとなれば、アタシ達を此処に置いたカンベエ様が悪い」


シチロージの言葉にユメカはぎょっと目を向ける。
にっこりと笑っていて、自分の気を楽にしてくれているのだと優しさが伝わった。
なんだかふたりで秘密ごとを共有しているようなわくわく感さえ生まれる。
ユメカは笑顔で「うん!そうだね」と頷いた。

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