samurai7 | ナノ
01
6 / 177

確信を持った夢香は、高ぶる気持ちから名前を聞こうと男の方を見る。
しかし異変に気付き、言おうとした言葉を飲み込み違うことを口にした。


「なんか……震えてませんか?」


よく見なければ分からない程に、小さく痙攣しているようだった。
その問いに返事は無く、彼は完全に眼を閉じてしまう。


「…………」


お節介とは思いつつも、もしやと思い彼の額に手を当ててみた。


「熱い…!」


熱があるのではないかという勘は的中なうえ、余りの熱さに驚いた。
もしかしたら四十度近く出ているかもしれない。


(どうしよう…!)


焦った夢香は彼の体に手が触れる。そして更に驚いた。


(冷たい――!)


額とは反対に、凍るような冷たさに驚く。
冷たい雨で、既に体温は奪われてしまったのだろう。
このまま放っておいたら危険だ。


「ねえ…!雨が遮れる場所に移動しようよ」


彼の反応は無い。
固く眼を閉じ、小さく荒い呼吸を繰り返す。
その様子に夢香はくしゃりと泣きそうな表情を浮かべた。


「―――っ」


怖くなって咄嗟にしがみつく。
助けを呼ぼうにも、他に人がいるとは思えない。
少しでも自分の体温で温められたらと、夢香は自らの腕を彼の体に回し、包むように抱きついた。



(本当に冷たい……

こんなんじゃ温まらないよ)




「キュウゾウ……!」




いつの間にか
夢香はそのまま眠りについていた――…



第二話へ→
06.03.05 tokika/加筆修正:09.01.24

×
グランプリ賞金5万円!
BL小説コンテスト開催中!
- ナノ -