samurai7 | ナノ
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これからどうカンナ村まで行くか。
暫く歩いたのだが、現在辺りを見廻るかむろ衆は多く、下手に身動きが取れなくなっていた。
丁度隠れるのに良い早亀の小屋があったため、今は皆で息を潜めて隠れている。


結論としては、やはり一旦癒しの里に入ることになった。
カンベエの言う、古女房……シチロージを頼るのだ。
夜になるまでじっと身を潜め、かむろ衆の目を盗みまた出発した。


疲労の色が見え始めた頃、やっと癒しの里の姿が眼下に見える位置に辿り着いた。
皆、顔が綻ぶ。特にキララが色とりどりに輝く街に「とても綺麗……」と感嘆の声を漏らした。
近くにいたヘイハチにキララが問う。


「何をする所なんですか?」
「……なんだ、そのー…」


ヘイハチはどう答えていいものかと、答えを渋らせる。
するとゴロベエが口を開いた。


「羽目を外して歌い踊り、浮世の憂さをはらす所、だな」


その答えを聞いて、ヘイハチがうまく言ったものだという風にゴロベエを見やる。
キララが納得したのかしていないのか、小首を傾げながら癒しの里を再び眺めた。
そしてその答えに反応したのが、カツシロウ。


「心の洗濯場ですか!」


捕らえ方が本当に可愛い。
とても好印象を持ったように明るい声だったため、ユメカは思わずくすりと笑った。
気付いたカツシロウがムッとユメカを見る。


「……イチ殿。何か間違ったことでも言ったか」


若干頬を染めながら怒るカツシロウに、
悪いと思いつつもユメカは噴き出した。


「かっ可愛い…!カッツン」
「んな…!!」


一気にカツシロウの顔に熱が上がった。
世間知らずと馬鹿にされたと思ったようで、ふいと顔を反らす。
耳まで真っ赤なカツシロウ。
ユメカは悪い悪いと思いつつも、そんな様子も可愛くてお腹を抱える。
するとヘイハチが口を開いた。


「おやー、どうやらイチは何をする場所かどうかご存知のようで」
「へっ?」


ほんの少し涙の浮かんだ目を拭いながら声のした方を振り向けば、
にんまりと笑顔を浮かべたヘイハチ。


「いや、意外です」
「某もなにやらショックだ」


ゴロさんがふざけたように話の中に入る。
からかおうとしているのは見て取れ、
情けないことに今度はユメカが顔を赤くする番となった。
人を笑ったのだから自業自得としか思えず、カツシロウにごめんと心の中で謝ったユメカだった。

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