samurai7 | ナノ
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煙が上がる通路をただひたすら走れば、
梅の絵が描かれた襖がずらりと並ぶ場所に辿り着いた。


苦しく肩で息をしながら、立ち止まる。
恐る恐る襖を開けようと手をかければ、向こう側から沢山の銃声が鳴り響き
驚いた私は勢いよく襖を開いていた。


「……ッ」


途端に顔を隠した者達が一斉に私に銃の照準を合わせる。
瞬間「ユメカ!」とよく知る声に名を呼ばれた。


そちらを向けば、床板が盛り上がり盾となった向こうにカンベエの姿。
更に初めて見るシチロージ。
手前には銃に撃たれ倒れたキクチヨと、刀を構えたテッサイの姿まである。


「………そんな」


嫌な予感は的中した。
今は最後の戦と呼べる時だった。


固まったままの私に、容赦なく敵は銃の引き金を引こうとする。
その時、下から突き上げるような大きな衝撃に都は襲われた。
床を砕きながら、斬艦刀が現れる。
斬艦刀にはキュウゾウの姿……。


「キュウゾウ!!」


私は叫んだ。
キュウゾウの姿に驚くようにテッサイが目を見開く。


「キュウゾウだと!?」


銃の照準が私からキュウゾウに映り、先程と違い敵は間を置かず発砲する。
キュウゾウはそんなことなど問題にせず
斬艦刀から素早く飛び降りる。


テッサイの目の前まで行くのには、一瞬のことだった。
ふたりの距離が無くなった刹那、苦しい声がテッサイから漏れる。


「奴は、俺が斬る」


キュウゾウははっきりとそう告げた。
テッサイがくぐもった声をあげながら態勢を崩していく。
キュウゾウはテッサイに刺さった左の刀身を引き抜いた。
支えるものが無くなったテッサイは崩れ落ちる。


「や…っいや…!」


テッサイの死。
これから起こる未来に怯え動けずにいると、誰かに腕を引かれた。
その人は自分の背後に私を置き、そのまま目の前にいる敵を大きな槍でなぎ倒す。
直後問いかけが飛ぶ。


「ユメカ!何故此処に!」
「シチ……ロージ」


初めて逢った人物なのに名を呼ばれたことに驚く。


――私のこと知ってるの?


その時大きな叫び声と共に刀で敵を斬りながら、カツシロウが現れた。


――カツシロウはひとり


即座に嫌なことが頭をよぎり、声をあげていた。


「カツシロウ!ヘイハチは!?」


ビクリとこちらをカツシロウが見る。
険しい表情が更に歪みをみせた。
だがすぐに視線はそらされ、新たに目の前に迫る敵を斬る。


「……っ!!」


いやだいやだいやだ。そんなの嫌だ…!


「カツシロウ!!」


周りが見えなくなっていると、カンベエがカツシロウの名を呼ぶ声でハッとした。


視界に映ったのは、
刀が折れカツシロウが床に倒れこむ姿。
それを助けるようにカンベエがカツシロウの目の前にいる敵に斬り込む。
敵の銃はカンベエの刀によって弾かれたため、床に落ちた。


――だめ…!


カンベエは目の前の敵を容易に倒すが、背後の敵に一瞬遅れをとった。


――いや…!


カツシロウが目の前に落ちた銃に手を伸ばす。


――約束したのに…!


「カツシロウ駄目ーーー!!」


私の制止も虚しく、鳴り響く長い銃声とカツシロウの叫び声。
カンベエを狙っていた敵は銃をまともに浴び、崩れる。


しかし崩れた敵の先には――……

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