samurai7 | ナノ
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耳をつんざくような騒音と揺れ。
私の意識はソレにより、唐突に覚醒することになった。


「……な」


瞼を開き視界に飛び込んできた光景。
それは、目覚めたばかりの脳には処理できないものだった。
混乱する中、冷たく固い床から体を起こし立ち上がる。
気だるい頭を振って考えをめぐらせた。


――私はさっきまで何をしてた?


そうだ、ウキョウのもとから逃げて
ヒョーゴ、それにキュウゾウと逢った。
……キュウゾウが私をカンベエ達のところに帰してくれることになって



それから記憶が無い。
きっと……寝ちゃったんだよね。



「じゃあここは……どこ」



今いる場所は、冷たい印象を受ける広い空間。
マサムネさんの工房じゃない。



「みんなは……?」



知らない場所に私ひとり。



「もしかして……」



此処は来たことが無い場所だが、雰囲気に見覚えはあった。
それは――過去に画面を通して観た場所。



「ここって……都?」



そう呟いた時、また爆発音のような音が鳴り揺れが襲う。
思わずたたらを踏み、すぐにサーっと血の気が引くのを感じた。


――なんでこんなとこにいるの!?
だってまだ、カンナ村にも行ってないのに!



まさか……



まさか…!こっちの世界に来た時みたいに時を越えた!?


キュウゾウと初めて逢ったのは、何故か大戦直後だった。
しかし意識を失って直ぐ、十年後になってキララ達と出逢った。
不自然なことはこうして身をもって体験しているため、
また起こってもおかしくはなかった。



この揺れと爆発音を聞く限り、今の状況は最悪と思えた。
天主のウキョウとサムライ達の戦いが目に浮かぶ。



とにかく状況を把握しないと…!
そう思うやいなや危険なことなど忘れ
扉らしき場所を探し、今いる空間から飛び出した。

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