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注意深く周りを見ながら歩みを進めるが、機械のスクラップが沢山あるばかりで先が見えない。
確実に日本ではないと思える広く荒れた地。
そこは廃墟と例えるよりも――戦場跡。
自分で考えたことに恐ろしくなり、夢香は身震いした。
汚れた雨が降っていることから、考えはあながち間違ってはいないだろう。
だとすると放射能は大丈夫だろうか。
(嫌だ……怖い…!)
足がすくむ。自分はこのまま訳の分からない場所で死んでしまうのだろうか。
それとも、もう既に死んでしまっているのだろうか。
ふいに視線をやった先に、初めて機械とは異なる塊が目に付いた。
「人……?」
しかし明らかにソレは不自然に地面に突っ伏していた。
こんな所で寝ている人なんているはずも無い……。
遠くからでも死んでいるということが分かった。
「やだ……なんで」
一刻も早くその場を去りたくなって、ぬかるんだ地面を蹴って走った。
「はっ…はっ…」
(どうしてこんな所に来ちゃったの!?)
「……ッ!」
走っても走っても景色が変わらない。
それどころか今また、本当に死体と分かるものを直視してしまった。
たまらず苦しさから立ち止まる。
「はぁ…はぁ……」
所在無く目の前を見る。
すると目の前に、生きている人ではないかと思える影が見えた。
地面に座り、機械の破片でできた大きな壁に寄りかかっている――。
「…………」
何故か凄く惹き付けられ、目を凝らした。
汚れた雨に打たれ続けているが、
それでも薄暗い景色に映える金色の髪を持っていることが分かった。
俯いているため顔は見えないが、体格からして男の人だろうか。