samurai7 | ナノ
05
33 / 177

ふたりはカンベエの近くに行き、カツシロウがカンベエを見た。


「先生、なかなかサムライは……」
「いや、待て。……おぬし、サムライか」
「「!?」」


カンベエが見据える先、階上をふたりは驚いて見上げる。
すると物陰から、赤いコートを着た金色の髪の人物が出てきた。
赤い瞳とは思えない程、冷たく鋭い視線を向けてくる男は
カンベエひとりを見下ろしていた。


刹那、綺麗に跳躍して三人の目の前に降り立つ。
そして、す…と背筋を伸ばした。
無駄が無い一連の動き、
そして身震いしてしまうほどの、相手が放つ殺気に……
思わずカツシロウは息を呑んだ。


カンベエが間合いを取るように、動き出す。
その動きに合わせ、目の前の男も動き出した。
円を描くように、お互いが威嚇しながら歩む。


その中、カンベエが先に口を開いた。


「儂は島田カンベエ。おぬし、名は何と申す」

「キュウゾウ」

「おぬしをサムライと見込んで話しがある」

「…………」


キュウゾウが歩みを止めた。
背中に背負った二刀流の刀を、ひとつの鞘から抜刀する。


「抜け」


カンベエはその言葉を聞き、キュウゾウをじっと見る。
キュウゾウは、じり……と態勢を変えた。
カンベエもまた、刀に手をかける。


「成る程。サムライだな」
「参る!」

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -