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ふたりはカンベエの近くに行き、カツシロウがカンベエを見た。
「先生、なかなかサムライは……」
「いや、待て。……おぬし、サムライか」
「「!?」」
カンベエが見据える先、階上をふたりは驚いて見上げる。
すると物陰から、赤いコートを着た金色の髪の人物が出てきた。
赤い瞳とは思えない程、冷たく鋭い視線を向けてくる男は
カンベエひとりを見下ろしていた。
刹那、綺麗に跳躍して三人の目の前に降り立つ。
そして、す…と背筋を伸ばした。
無駄が無い一連の動き、
そして身震いしてしまうほどの、相手が放つ殺気に……
思わずカツシロウは息を呑んだ。
カンベエが間合いを取るように、動き出す。
その動きに合わせ、目の前の男も動き出した。
円を描くように、お互いが威嚇しながら歩む。
その中、カンベエが先に口を開いた。
「儂は島田カンベエ。おぬし、名は何と申す」
「キュウゾウ」
「おぬしをサムライと見込んで話しがある」
「…………」
キュウゾウが歩みを止めた。
背中に背負った二刀流の刀を、ひとつの鞘から抜刀する。
「抜け」
カンベエはその言葉を聞き、キュウゾウをじっと見る。
キュウゾウは、じり……と態勢を変えた。
カンベエもまた、刀に手をかける。
「成る程。サムライだな」
「参る!」